鹿の王 水底の橋  上橋菜穂子 角川文庫

 

「鹿の王」の続編。

 

作者の作家生活30周年記念作品として2019年3月に発売された小説の文庫化。

 

前作で恐ろしい感染症黒狼熱(ミッツァル)と格闘した若き医師ホッサルが主人公。

今回は、新たな伝染病ではなく、人間界の勢力争いのお話。

それに医療がどうからんでくるかは、読んでのお楽しみです。

 

前作の主人公ヴァンやかわいらしいユナは全く出てきません。(あの人たちはきっと幸せに暮らしていると思います)

 

「人を救いたい」という医師の思いは同じでも、その方法やたどりつくところはそれぞれ。

どんな評判の悪いお医者さんでも、自分には合っていることもあるし、名医と呼ばれる人でも、万人が救えるわけではない、ということは現代社会にもありますし、「医は仁術」とばかり言っていられない面もあります。

それをわかりやすく、壮大なファンタジーの世界で展開してくれたのが、この作品だと思います。

 

ファンタジー、ミステリー、医療小説、どの分野に分類しても大丈夫な一冊。

面白かったですよ。

 

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