細切れに目が覚める感覚はあったが途中からは眠れたように思う。
5時台に一度スマホで時間を見た後は7時前まで寝ていた。

朝食までの時間に退院に向けて荷物をまとめ始める。
窓辺に置いたへその緒がひと晩で形を変えていて悲しい。


午前は棺作りとお手紙を書いた。
精いっぱい今の気持ちを書いた手紙で少しでも思いを伝えられたらいいな。
棺は自分で糊付けするつもりだったが、部屋でやるとボンドが臭うかもしれないからと看護師さんが別室で付けてきてくれた。かわいい箱だねと皆が褒めてくれて嬉しい。立ち寄る看護師さん達が気にかけて声をかけてくれるのでお話する時間があり、そのたびに優しさに涙が出てきた。



診察で出血状態等をチェックして問題なし、今日退院の許可をもらう。
手に刺されたままの針はまだ外してもらえず…。
太めの針が付いているせいか突っ張ってちょっと痛い。

完成した棺に折り紙を入れてみたら色とりどりでかわいかった。
荷物をまとめ終わり、後は着替えるだけで出られる状態にして夫の到着を待つ。
夫は市役所の手続きが長引いて15時着予定と連絡をもらう。火葬は明日か3日後の選択肢があって、赤ちゃんとの時間を持ちたいという夫の意向もあり3日後の朝いちに決まった。看護師さんにもその旨を伝えると、今から赤ちゃんに会いませんかと提案してくれて昨日ぶりのご対面。


顔色が昨日より良くなっていて(赤みがひいたから?)顔を見た瞬間に涙が溢れてしまう。
だっこさせてもらったり2人でしばらく過ごしていたら部屋の温度のせいか段々顔に赤みが増してきたので、迷った結果もう一度看護師さんに預かってもらうことにした。せっかくだからこのかわいい姿を夫にも見てもらいたい。

しばらくして夫が到着したので、抱っこしたり写真を撮ってもらってから一緒に服を着せて納棺した。
皮膚が薄くて今包まれているガーゼを外すのは難しそうだったので、上から服で包むことにした。
サイズが合うか心配していたけれどお洋服も布団もぴったりで良く似合っていて、棺におさめた姿はすやすや眠っているように見える。

退院は師長さんと納棺などお世話になった看護師さんにお見送りしてもらった。中期中絶という選択をした私達に最後まで暖かく接してくださって感謝の気持ちでいっぱい。

氷屋さんでドライアイスを買って、棺に添える。

どこか行きたいところがあったら行こうと夫が言ってくれたので、少しドライブして桜スポットを散策することにした。ドライアイスで重くなった棺を夫に持ってもらい家族でお散歩を楽しんだ。
棺はドライアイス効果でひんやり冷たくなっていたので慌てて下にタオルを挟んだ。

帰宅前に義父に赤ちゃんを見てもらおうと義実家に立ち寄った。
明後日家族でお経をあげる予定にしているが、なるべく早い内に一度顔を見てもらえたらと思って。
義父にとっては初孫、よく頑張ったねと涙を浮かべながら抱っこしてくれた。
悲しい形で会うことは辛い気持ちになるだろうし、どうするべきか悩んで義父にも意向を確認してから会ってもらったが、こうして抱っこしてもらえて本当に良かったと思う。

棺が湿ってきていたので、帰宅してからは発泡スチロールの箱に移って過ごしてもらうことにして、さみしくないように折り紙とぬいぐるみを添えた。
明日は通販で買った追加のドライアイスが届くのでお別れまでなるべく綺麗なお顔で過ごしてもらえますように。一緒にお家にいようね。

夫が寝室に連れてきてくれて、寝る前にちょっとだけ私達のベッドで添い寝をした。
今まで感じたことのないような幸せなひと時だった。ドライアイスがあるので念のため換気をして就寝。