ファズマ「どうも、貴方の心にクロムの輝き、キャプテン・ファズマです。…これ、本当に要る?」
アッセンブル「要ります。さて今回のお題は、外星人についてです。」
ファズマ「…外星人…か…。」
アッセンブル「かつては「宇宙人」とか「異星人」とか言われていましたね。
さて、この地球では外星人のイメージはあまりよくありません。」
ファズマ「…。」
アッセンブル「やはり一番の原因は2年前の第一次星間会戦、通称「地球防衛戦争」ですね。」
ファズマ「惑星ミステロイドから来た外星人、ミステリアンが地球に飛来。土地の割譲と地球人の女性との結婚を要求したことで始まった戦争だな。」
アッセンブル「ミステリアン達の強力な兵器の前に地球人は窮地に追いつめられました。そこでヒーロー達はこの星を守るために力を合わせ共に戦うことにしたんです。このことは「ヒーロー連盟」の設立に大きく影響しました。
他の星の人々とのファーストコンタクトが戦争…しかもこの戦争では戦闘員よりも民間の人々の被害が多く出ました。
そのせいで地球人の外星人に対する印象は早くも最悪のものとなりました。」
ファズマ「…。」
アッセンブル「続いての大きな事件と言えば、1年前のバルタン星人達による地球移住計画ですね。」
ファズマ「母星を失ったバルタン星人20億人が地球に移住を求めてやって来た事件だな。当初は対話による交渉が行われたが、突如バルタン星人側が侵略を開始したんだ。」
アッセンブル「この突然の裏切りによって地球人の外星人に対する印象はさらに悪くなりました。
最終的に「光の戦士」と呼ばれる外星人…我々は「ウルトラマン」と読んでいますが、彼がバルタン星人を全滅させたことで地球の平和は何とか守られました。」
ファズマ「「ウルトラマン」…か…。たしか、「地球防衛戦争」でも彼の協力があったという話を聞いている。だが、今だに正体不明の気味の悪い存在だ。」
アッセンブル「第三の事件、半年前の第二次星間会戦、通称「宇宙大戦争」。
突如地球に飛来して来た外星人、ナタール人との戦争です。この頃には地球も対外星人の体制も出来上がっており、我々ヒーロー連盟の活躍もあり外星人相手に互角以上の戦いを繰り広げ、無事勝利を果たしました。
これによって我々地球人も外星人相手に十分戦えることが証明され、大きな自信となりました。」
ファズマ「…その代わり、外星人に対する対応もかなり威圧的な物になったがな。」
アッセンブル「その後もここまで大規模な物はないとはいえ、侵略や犯罪目的で地球にやって来る外星人達は後を絶ちません。」
ファズマ「地球のように文明が発達し切っておらず、資源が豊富にある星は侵略対象として最適だからな…。」
アッセンブル「とはいえ、外星人がみんながみんな悪い人とは限りません。地球人の中にも善人と悪人がいるように、彼ら外星人の中にもいい人はいるんです。」
ファズマ「そうだな…そうなんだよ…。」
ファズマ「さて…そろそろ仕事に戻っていいかな。」
アッセンブル「ああ、お手柔らかに頼むよ。」
・新・ミソシルファイト
第十七話「ありえないともいいきれない」
<前回>
犯罪組織クリムゾンドーンを追うヒーローチーム「スターガールズその他数名」。
激しい戦いの結果、倉庫は半壊、さらに敵用心棒のダソミリアン・ザブラク、モールを取り逃がしてしまう。
周囲に被害をもたらしながら戦うスターガールズその他数名には早くもお叱りが…。
「こんのっバカちんがーーーーーーっ!!!!」
ファズマ「何て体たらくだよ!ドーパント犯罪チーム一個潰すのに倉庫吹き飛ばして!「やりすぎ」って概念がないのかお前らあぁ!?」
ソウタ「アイッ!トゥイマセンデシタアッス!」
星羅「…申し訳ありません。」
ファズマ「ローンサバイバー!あれだけのことやらかしてチーム解散&吸収合併したばかりだってのに早くもやらかしてくれたな!何か!?お前らは何かをぶっ壊したり滅茶苦茶にしないと気が済まないのか!?」
ソウタ「アイッ!トゥマセンデシタァッス!」
ファズマ「返事だけは良いな!」
ファズマ「栞星羅…君達には奴らの「お目付け役」として、手綱を引いてほしかったのだが…。」
星羅「はい…申し訳ありません…。」
ファズマ「頼むよ…あいつら放っておくと何するかわからないんだから…。」
ソウタ「ま!若い頃は失敗することもあるさ!気にすんなって!」
ファズマ「原因てめえらだろうがこのバカちんが!!!」
<数分後>
ソウタ「いやー!叱られた叱られた!」
星羅「…全然反省してませんね。」
ステラ「星羅!大丈夫だった?」
星羅「ステラ…大丈夫、ちょっと叱られただけだから。」
バレル「すまなかったな。」
星羅「仕方ありません。私達では手も足も出なかった訳ですから。」
星羅「…さて!それでは改めて!」
星羅「…?ソウタさん宇宙行ってたんですか?」
ソウタ「地球な!地球で色々あって知り合ってそれでそのまま俺がアッセンブル達に紹介して便宜を図ってもらったの!バーダック色々記憶ごっちゃになってんぞ。」
バーダック「…ああ、そうだったそうだった。」
星羅「…?」
バレル「…俺は長いぞ。」
星羅「そうですね…本来は侵略外星人のバルタン星人が何故ここでヒーローをしているのか、複雑な事情があることは察しがつきます。」
ソウタ「一応言っとくけど、バレルは善人で友好的な外星人だ。侵略者では断じてない。」
バレル「…まず、俺はバルタン星人側から移住の交渉のために最初に派遣された使者だったんだ。」
星羅「バレルさんが?…もしかして、元々は相当な地位だったんですか?」
バレル「いや、宇宙人の中には感情を「疾患」みたいなものと認識している種族も多くいる。俺達バルタン星人もそうだった。」
バレル「俺もその「疾患」持ちだたんだが、地球人にも「感情」があることを知った同胞が交渉に利用できると考え、俺を派遣したんだ。
俺は母星を失った同胞達の為、地球移住を認めてもらおうと必死だった。」
ソウタ『えーっと…「キエテ・コシ・キテキレテ」。』
バレル『君の宇宙語は分かりにくい。日本語で良いよ。』
バレル「俺はまず、ソウタにコンタクトを取った。」
星羅「ソウタさんと?どうして?」
バレル「…ヒーロー連盟の中で一番俺達の話をちゃんと聞いてくれそうだったからだ。」
バレル『ドーモ、Mr.アッセンブル=サン。バルタン星人です。』
Mr.アッセンブル『ソウタから話は聞いている…移住は火星じゃ駄目だったのか?』
バレル『駄目なんだ。火星には我々の苦手な「スペシウム」という物質がある。』
ソウタ『弱点バラしていいのか?』
バレル『お前らを信用しているし、俺達のことも信用してほしいからな。』
バレル「その後、ソウタの紹介でMr.アッセンブルと出会い、本格的な話し合いをした。
…アッセンブルもソウタも俺達の事情とちゃんと向き合ってくれた。そして、地球のルールに従うならば移住を受け入れてもいいと言ってくれた。
…正直、地球人は俺達のような宇宙人に対して良い印象を持っていないことは知っていた。だが、そんな俺達を受け入れようとしてくれた二人には本気で感謝していたんだ。
…だが…。」
バレル「突如俺達の本隊が侵略活動を開始した。交渉によって平和的に移住を認めてもらうよりも武力による侵略の方が「効率的」で「合理的」という判断からだ。」
バレル「俺は報告のために一度宇宙船に戻っていたんだが、その侵略作戦を聞いて何とか止めようとした。
だが…無駄だった。でも、そこに「奴」が現れたんだ。」
星羅「「奴」…もしかして!」
バレル「そう、光の戦士…この星で「ウルトラマン」と呼ばれる存在だ。」
バレル「ウルトラマンは尖兵としてやって来た個体を倒すと、そのまま俺達の宇宙船を破壊した。
故郷も同胞も失った俺はこの星に残り、アッセンブルの厚意でヒーロー連盟に加盟、こうして平和のために戦っている訳だ。
…ただし、バルタン星人は侵略者のイメージが強いからな。正体はなるべく隠している。」
星羅「ウルトラマン…「地球防衛戦争」でも地球人を助けてくれた存在…私の友達も彼に助けられたと言っていました。」
ステラ「じゃあ、味方なの?」
星羅「だと思うんだけど…全然情報がないし、正直信用出来るかどうかはかなり意見が割れているの。」
バレル「以上が俺の身の上話だ。」
ソウタ「信じるか信じないかは、あなた次第です。」
星羅「…。」
ナタール人とナターン星人がまた別物という。
<つづく>