日曜は黒目さんとぶどう狩りに出かけた。

俺にはよくあることなのだが、時間的に余裕をもって行動することができず、そのうえ腹痛に見舞われてしまい、土壇場でいろいろ予定を変更させてもらった。

そこからさらに黒目さんのほうにトラブルが発生し、予定時刻よりも大幅に遅れてぶどう狩りを始めた次第。

本来なら踏んだり蹴ったりのはずなのだが、農家の方たちは寛容だったし、黒目さんもこの手のことはあまり気にしないうえ、俺もこういう状況には慣れきってしまっている。

結果として平和な時間を過ごすことができたのではないだろうか。

ぶどう狩り自体は何房か切り取るだけで終了という実にあっさりしたものだったから、トラブルはむしろいいスパイスになったのかもしれない。

 

先週の日曜は黒目さんに別の予定が入っていて、黒目さんは何があるのかはっきりと話してくれなかった。

俺は少なからずそのことが気になっていたのだが、他のことを話しているうちにすっかり賞味期限切れの話題になってしまったようだ。

このことは一旦忘れることにしようと思う。

黒目さんは敬語で話す癖が若干残っているものの、自分で気がついたら言い直してくれる。

そういう不自然な要素があることにも慣れてきた気がする。

曲がりなりにも二人の間だけで通じるような会話ができるようになっているのだろうか。