少し前のこと。用事があったので出かけた。

電車で席をおじいちゃんに譲ろうとすると、「結構です!」と何故かキツイ口調で言い返された。僕がおじいちゃん扱いをしたことに腹を立てたのか。だとしてもその言い方はないんじゃないか。そんなこんなしていると、降りようと思っていた駅を乗り過ごした。

仕方ないので、降りた駅のベンチに座って、これからのことについて、いろいろ考えた。元々いい加減な人間なので、ちゃんと考えると頭が痛くなる。気分転換に自動販売機でビン入りの炭酸を買おうとしたら、炭酸が取りだし口にひっかかって出てこない。

悪戦苦闘していると、後ろでジュースを買おうとサラリーマンが並ぶ。焦ってえいやっと引っ張り出すと、尻餅をついた。尻餅ついたのって、いつ以来だろう。


予定が終わり、帰りの電車を待っていると、サングラスをかけたおばさんが割って入って乗り込もうとしたので、「並んでるんですけど」と僕が言ったら、聞こえていないフリをされた。

何だかとても嫌な気持ちで、電車を降りて、家に向かうバスを待った。フリスクを食べようと思ったら、箱がパカッと開いて地面にフリスクをばらまいてしまった。その場にいた人たちはどうするんだという目で僕を見る。このままにはしておけないなと思って、近くのゴミ箱に捨てるために、一粒ずつ地面に転がったフリスクを拾う。フリスクの粒は思った以上に拾いづらくて、時間がかかる。バスを乗り過ごしてしまった。

次のバスを待つために日陰のベンチに座ると、ベンチが雨で濡れていて、パンツまで浸水した。

その時、思った。
これからいいことが起こる。きっと、その前触れに違いない、と。