人間はいつ死ぬか分からない。

21歳の時に、父親が死んでから、僕はずっとそう思っている。

生きているというよりも、どうやって死に向かっていくかを意識している。

だとしても……本人の過失がゼロで、ある日突然、災害や事故で命を失うのは、どれほどやるせないことなんだろう。

大切な人に最後の別れさえ言えない。

その痛みがどれほどのものか。想像するだけで、心が痛くなる。


地震の間、僕は何をしていたかというと時間に追われ、ただ執筆していただけだ。心が乱れても、自分がやるべきことをやるしかない。

地震が起こってから、よく頭に浮かぶのは、岡本太郎さんの絵だ。

ダークな絵の中に、煌めくほとばしる赤の色。

絶望の中にある希望だと解釈している。

どんな絶望にも、ほとばしる赤はある。