今から、6年前にNHKの創作ラジオドラマ脚本公募(現在、創作ラジオドラマ大賞)で、賞を頂いた。ちなみに僕は……だが、この賞から出世した人は多い。



近年だと、第31回受賞者の山本むつみさん。来年の朝ドラ『ゲゲゲの女房』の脚本を担当されている。むつみさんは人を惹きつける話術と圧倒的なポジティブオーラを持っている人で、お会いするといつもこっちが元気になる。
今はさすがにお辞めになったが、当時アスキーの副編集長をやりながら、NHKの金曜時代劇をバンバン書いているとき、この人は一体いつ寝ているんだろうと不思議でしかなかった。
僕はむつみさんの翌年の第32回受賞者。




そして第33回受賞者は、林一臣さん。5年前初めてお会いしたとき、確か林さんは51歳だったと思う。なんと僕と同郷の香川県出身。

林さんは地元の県庁で働いていたのを辞めて、50歳になって脚本家になるために、上京してきたのだ。もちろん嫁さんもお子さんも地元に残して。
その後、NHKのテレビの賞も受賞して、テレビドラマデビュー。さらに東海テレビの昼ドラをお書きになり、舞台も書かれた。

2年前に田舎に戻ったけど、最近また嬉しいニュースが飛び込んできた。映画監督として、さぬき映画祭2009で賞を受賞したのだ。すごい。作品を送ってくれるとのことで、無茶苦茶楽しみです。




また翌年の第34回受賞者は、すばる文学賞も受賞した新進気鋭の小説家・原田ひ香さん。

ひ香さんとは林さんと同じく5年前に出会い、定期的に酒を飲む大切な友の一人である。

僕は一度、仕事で困ったことになったとき、すぐにひ香さんに電話を掛けて相談に乗ってもらったことがある。話していると勇気付けられ、不思議と大丈夫だと思えてきたことが忘れられない。

辻仁成さんと江國香織さんが、男女それぞれの視点から描いた「冷静と情熱のあいだで」という作品があるが、NHKのラジオドラマでオリジナルでそれが出来ると楽しいねと話している。そんなひ香さんの最新作がもう少しですばる誌に掲載される予定。楽しみです。




さらにその翌年の第35回受賞者には、ひ香さんと同じく後に小説家に転身して『告白』で本屋大賞も受賞した湊かなえさん。

『告白』だけでなく『少女』『贖罪』と話題作を連発し、一気にベストセラー作家の階段を駆け上がった。『告白』は来年の6月に東宝で映画化されます。


他にも多数の人気作家や脚本家を生み出している。




僕はこの賞を頂いて、業界に足を踏み入れた。

現時点で、NHK7本のラジオドラマを書かせてもらった。

オリジナルだけでなく、三崎亜記さん、伊坂幸太郎さん、荻原浩さんの作品を書かせていただく過程で、脚色とはどういうことなのかも学ばせていただいた。

そして今でも、「書きませんか?」と嬉しいお誘いを毎年頂いている。

ただ、貧乏暇なしの僕は、スケジュールが合わない状況。




でも来年はなんとかして、久しぶりにラジオドラマも描きたい。映画やテレビとは一味違う魅力がラジオには存在するのだ。