6月30日に「百年の孤独」文庫版を求め珍しく書店に赴いた際の帰り、景気づけで立寄った古本屋さんで偶然上下巻セット200円で置かれていたのが、今私の目の前にあるスティーヴン・キングの「シャイニング」である。
以前から欲しかったもので、しかも裏表紙にバーコードが無い時代のものという願ったり叶ったりの状態に、言うまでもなく直ぐ手を伸ばしたものである。
恥ずかしながらキングの小説を読むのは初めてで、既に手元にある「スタンド・バイ・ミー」はもう数年寝かしたままにしている。
原作と内容がかけ離れている、ジャック・ニコルソンがいかにも狂気っぽいというようなことで、作者のキングが激怒したという逸話のある「シャイニング」であるが、上巻は極力直接的な怖さの部分を極限まで焦らせ、閉塞したホテルでの生活や、過去の回想、登場人物個々の意識の流れ、錯覚などをリアリズム小説と見まごうほどくどく重ねるので、読者としては何の小説を読んでいるんだ?と少し疑問を抱くかもしれない。
しかしそれらは作者のねらいであり、これから起きる事態の伏線と私は考える。
で、あらすじは一切挙げないが、ラスト数ページの一気呵成の恐怖の畳み掛けが目の裏に焼き付いて焼き付いて、下巻を直ぐ読もうか…間を空けるものかと迷ったのが、私の「シャイニング上」への雑感である。