好きな本のことについてグダグダとやっているうちに春が来てしまった。

春は何だか不思議なもので、陽気に当たるだけでもなぜだか気持ちが自然軽くなってくるような気さえする。


 春が来たからというわけではないのだが、そろそろ(というか既に)生涯に渡り読む本が十分揃ってきたような気がするので、散財癖を抑えていこうと思っている。


 とは言っても、タバコやジュースなどの嗜好品を買うぐらいなら…と都合よく脳内変換している私にとって、嗜好品程度の値段の本への購入癖を断ち切るのは目下の難題で、つい何かきっかけを宛にしてしまう。


 ちょうどいいところで、書き散らしの本の購入ノートの行が満杯になってきたので、これを契機に新規の古本購入をポチッとするのを、当面止めてみようと思っている。


 しかしながら、これまでの購入・読書の記録は細々と続けたいと思っているが。


 先日、目的の1冊を求めて古本屋さんを訪ねた時のことである。


 目的が既に決まっていても、念のため何かいい本はないかと、見慣れた店内を巡回するのが本好きの悪癖である。


 なぜなら、端っこに積み重なったみかん箱の中に、まだ見ぬ名品がひっそり積まれているかもしれないからだ。


 時代小説がたくさん入ったみかん箱の周りに、少し雑多な感じで入り混じって、閲覧可能な一箱があるのに気付いたので、少し中を見させていただく。


 時代小説…つかこうへい…ローダンシリーズ…

クリスティに…ラノベ…お、ル・グインのファンタジー!と、折り重なった一冊一冊をかき分けていくと…



 しばらくこういうことをやっていると、何か嗅ぎ分ける第六感めいたものが身についていたりする。

 ついに、これは!というものが姿を現したのである。しかも初版で。


 圧倒的に存在感があり、どこか懐かしさを感じるカバーアートである。
シュミッツは何となくしか名前を知らない作家であるが、「テルジーの冒険」の市場価格を念のため調べてみると、もう多分バグっているのであろう。

 3万円近い値が付いているケースと、千数百円で提供されているものと大きく波がついている。

 というか何よりこのカバーアートが好みで、値段が付いてないながらレジにて200円で買わせていただいた。

 実はまた後日、このみかん箱の中から興味深い1冊が出てきたので、うまく実を結べばレビューしてみたいと思っている。

 今や手軽にインターネットから好きな本を仕入れることができるようになり、斯くいう私も多いにそれを利用しているが、やはり古本好きの醍醐味はお店での予期せぬ発見かもしれないし、蒐集癖がやまらない要因でもあり浪漫でもある。