九月頃から続いている日本文学への傾倒と蒐集が暫くは止みそうもないので、少し以前に戻って久しぶりに久生十蘭の作品を読んでみたことを振り返りたいと思う。
初めて久生十蘭という作者を知りその作品を読んだのが、数年前の「十字街」である。
久生十蘭の作風を私なりに考察すると、江戸川乱歩、夢野久作、安部公房などのオカルトミステリー的な要素がちょうどいいぐらいにブレンドされ、久生十蘭という色付けがされたものではないかと思っている。
ただしこれはあくまでも個人の見解であることをご推察いただきたい。
先般読んだ「湖畔」は、中でも傑作に位置するもののようで、内容こそ異なるが「十字街」の不気味な雰囲気を纏った、叙述ミステリーであり少々小難しい語句なども並べられた独特の文学的なテイストも感じるものであった。
内容こそ敢えて申し述べることはないが、この中に色々所収されているので、徐々に追ってゆきたいと思っている。