夜明けに向かっての新しい旅立ちの始まりに変態性の高い小説の回想を持ち込むのは、自分でもどうかと思う。


 しばらく本棚に眠らせておいて、通読したのはもうかれこれニ年前、その当時このような写真を残していた。



 本当は段ボールの穴から覗かせてもよかったのであるが、そこまで手を煩わせずして、この特別な世界観を自分なりに表現してみた。
(単に段ボールの中に本を置いているだけなのだが…)

 さてこの「箱男」、流石安部公房の実験的作品と云われるだけあって、読み進むほどよくわからない。

 結局、正しい「箱男」が誰で何なのかもとうとうわからず、誰かの思考のうちで演じられているものも複雑でわからない。

 ただわかるのは、箱の中では狭い前方しか見えず、自分がどうなっているのかわからないということである。