本あるいは古本の魅力に取り憑かれて、早6年経とうとしている。


 厳密に云うと、十代終わり頃の江戸川乱歩、横溝正史の小説の蒐集時期や、二十代後半〜三十代序盤頃に再び小説への関心が高まってきた時期もあるのだが、今は手放してしまっているので、ものの数に入れないでおく。


 このおよそ6年で、随分蒐集する本の趣向も変わってきて、現在は時代を逆行するかのごとく古い時代の小説ばかり集めている気がする。


 以前「激突!」の通読を述べたことのある作者、リチャード・マシスンも、最近では読む人も少ないだろう。



 この作品を例に挙げるように、人間の深層心理を突くのが非常に巧みな作者で、他の有名な作品も多分にもれずある。

その中でも、カバーから興味を懐き、当日今よりSF小説や所謂原作小説に関心が高い時期もあって、映画「アイ・アム・レジェンド」の原作小説「地球最後の男」を、考えに考え意を決して購入した。



 意を決してとは少々大袈裟ではあるが、よくありがちな「この一冊で最後の購入にする」一冊に決めたからであった。

 あれから3年以上経過し、破竹の勢いで古本が増えていったのは言うまでもない。

 

 地球にたった独り生存してしまった男の、人間としての苦悩と葛藤が、リアルに映し出されているSF小説の枠を超えた独り人間ドラマといった感の作品である。


 共存者が皆、夜血を求め襲ってくる吸血鬼なので、実質男が独りぼっちなのである。

この異常な世界は、自分にはとても堪えきれないであろう。