四年前のちょうど今頃、自分の中の「SF古本小説収集黎明期」として日に日に文庫本が増殖するという異常事態が起こっていた。
私の本の購入ノートを辿ると、数日おきにSF小説の購入が入っているので、さながら当時の古本への思いが狂熱を呈していたと思える。
閑話休題、そのSF小説購入においても、SFど直球の作品だけでは余りに寂しいので、同じSFジャンルでも毛色の違う作品を幾つか見繕った内の一冊が、ハヤカワSF文庫からの「ベティアンよ帰れ」である。
滅びゆく日を待つ悲しき銀河の放浪の民、アミン族と、地球人の心優しき両親に育てられたアミン族の末裔ベティアンの意識が交差し、重なり合い、彼女がやがて仲間の元へ旅立つまでの抒情的なこの作品は、さながら米版「竹取物語」と見紛うものとなっている。
ベティアンは普通の少女として、別け隔てなく育てられ、誰しもある心の葛藤や不安を抱えながら成長し、やがて誰も手の届かない宇宙へ旅立つ。
しかし、この両親は最後まで少女の旅立ちを温かく見守るのである。
一人の親として読んでいると、こんなに切ない別れはない。