我が読書会では、毎年12月恒例で本と詩の交換会を行っている。

この2年以上コロナ禍で、不本意ながら欠席を余儀なくされているが、このイベントとともに、美味しい料理とお酒を嗜む忘年会は、メンバーの方々との距離を近づける意味においても、非常に愉しい一夜なのである。


 さて、本と詩の交換をどのようにするかと言うと、交換に出したい本とお気に入りの詩(詩人のもの)を書いたコピーを持ち寄り、それぞれランダムに取り上げその詩を朗読し、誰が持ち寄った詩かを当てるゲームのようなものである。

選詩もその人の特徴が出ているようで、毎回面白くもあり、後々振り返るとそれぞれ恥ずかしくもなることもある。


 本題であるが、私がはじめて参加した年のこの交換イベントで、あるメンバーさんが準備していた本が、後に私が選書まですることとなる高橋源一郎先生の「ジョン・レノン対火星人」だったのである。


 その当時、このただならぬ突飛なタイトルがその後も頭から離れなかったものである。

 その後、本当に偶然の巡り合わせとしか言いようがないのであるが、交換会後の年明け、今は無き近所のブックオフでの文学小説探索の際、棚の中で一際目を惹くこのタイトル背表紙が目に入ったのである。


「ジョン・レノン対火星人」というタイトルが。

しかも奥付けを見ると更に嬉しい昭和の時代の初版本。


 この装幀は大のお気に入り

 記憶を亡くした「素晴らしい日本の戦争」(人物名)をあるべき姿に導く話なのであるが、筋書きに何のの脈絡もなく、下ネタとアイロニーが多分に詰まった一種異様な本作品である。

もちろん、声に出して読むのは以ての外

これは三部作もので、本作に負けず劣らず滅茶苦茶な「虹の彼方に」と、他2作よりまだ少し悲哀が込められた「さようなら、ギャングたち」がある。

 これが、ジャパニーズポストモダンという作風であり、私はずっとスポーツニュースのコメンテーターとばかり思っていた作家高橋源一郎先生のファンになったことは言うまでもない。
 近年の日本文学の衰退をtwitterやラップなどの流行とともに、とびきりのアイロニーに乗せて綴った作品「今夜はひとりぼっちかい?」の回想についても、折を見て語ってみたいと思う。