「自転車が盗まれた」と妻が電話で言った。

急ぎ帰宅すると、確かにいつも駐車場に止めてあるママチャリが無くなっている。それほど新しい自転車ではない。しかし、安定性があり乗りやすい自転車ではあった。駐車場には一応、クサリがかけてある。

そのクサリを開け、自転車を出し、またわざわざ、ご丁寧に閉めて、そのまま持ち去ったのだ。

どうせ、目的地まで行ったら乗り捨てるのだろう。何だかんだ考えているうちに、だんだん腹立たしくなってきた。釈然としないものがある。

妻と「防犯カメラを付けよう」、「警察に電話しよう」など、いろいろと話しているうちに、私は日頃、治療の仕事で気功のようなものをやっているので「よし、”気”でスキャンしてみよう」ということになった。普段はもの探しでは使わないので、どれ程役に立つのか分からないが、とにかくダメもとでやってみようということになった。

 

居間のソファーに座り、360℃ぐるりと人差し指で探ると西南西の方角、距離約200m。

地図を広げるとコンビニや風呂屋、八百屋など商店が集まっている十字路のあたり。

取りあえず行ってみようということになった。

妻は、私の右に並んで歩きながら、プリプリしている。怒っている様が手に取るようにわかる。その場所が次第に近づいてくる。妻の方を見る。なんだか力が抜けているような感じがする。顔も少しにやけている、北海道弁でいうと少し”へなまずるそうな”顔である。

どうしたのかと思って、いぶかしく思っていると、先ほどスキャンした十字路のちょうど角の肉屋の前に自転車はあった。

 

妻が昨日、肉屋に自転車で買い物に来て、そのまま自転車を忘れて、歩いて帰ってきたということだった。

とっぴんぱらりのぷー