言葉になる前の木漏れびが好き
あのおおきなおおきなクスノキの
ゆらゆらゆら窓辺に座って
レースカーテン越しに受ける
あたたかい、あたたかい、
じんわり、
情けなくなるもの(自分を責める気持ち)と




言葉になる前の木漏れびが好き
あのやさしいやさしいどこまでも
『 わかってほしかった、理解してほしかった 』
その気持ちきみとうたいたい
『 わかってほしかった、理解してほしかった 』
どうして届かないの、
届いたところにあふれたい(気持ちの体感)

あの気持ちは落としものじゃないよ
その風ふく見上げてぼくを
その気持ちはあのひとに届けないんだ
届かないんじゃなくて
この気持ちはわかってほかったんだ、きみに
膨らんだふくらんだ、きみのつらさに。

言葉になると、わからなくなる
考え出すとちいさくなる
答えにしたくて、なにかワカラナイモノを
答えにしたくて。
うたにすると懐かしくなる
音にするとひとつになる 
景色をみれば眺めたくなる、
あなた溢れたセカイで

真っ白なキャンバスはきみの気持ちと
きみを受けとめてくれるから




あの気持ちは、君に届いたから
僕ら言葉にしなくていいんだ
その気持ちはきみに包まれたから
僕は音になるんだ
この気持ちはきみといたいから、
クスノキのしたで待っているから
クスノキのしたではなそう



言葉になる前の木漏れびが好き
好きで好きで
かすれた声で階段を降りてゆく
あなたとその場所でゆっくり混ざる

言葉にあふれ埋もれてしまった
あなたを待っている
歪んだ空虚のなかで、それは生きたくなかったの

言葉のなかわからなくなった
あなたの木漏れび

もしもまた
たくさんの思考と言葉で埋もれたら
目の前のあのひとを助けようと
救おうとしないで

あなたの気持ちがレースカーテンのように
ゆらゆら身を伸ばして
心地よさそうに見えたら
きっとあなたはなにもしないわ
その場所で歌う草花のように






目の前の誰かの、くるしみはあなたに理由は無い
目の前の誰かの、不満はあなたに理由は無い
木漏れびのしたで探すことはしないね
言葉に埋もれることもないね
シアワセですか、なぜカナシイですか
ほっとしたい気持ちはそこにいますか

言葉にあふれ埋もれてしまった
あなたを待っている
歪んだ空虚の外へ、あいに来て

あなたの木漏れび