"【PickUP@シネマ洋画】

久しぶりに韓国映画をピックアップ。まるで恋愛映画のようなタイトル。でも、男は死刑囚、女は自殺未遂の常連なんです。一度観て感動、その後、じわじわと色々なことを考えさせられる作品です。

『私たちの幸せな時間』です。


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かつて歌手活動をしていたユジョン(イ・ナヨン)は、今は生きる希望をなくし、3度目の自殺未遂をしてしまう。裕福だが体裁を重んじる家族にも暴言を吐き、ついに見放される彼女。そんな折、刑務所で奉仕活動をしている叔母から、3人を殺した死刑囚ユンス(カン・ドンウォン)が、かつて歌手だった彼女に会いたがっているからと、刑務所での面会に同行させられる。ユジョンは毎週木曜日の10時から13時までの間、ユスンと面会をすることに。最初は互いに心を閉ざしていたユジュンとユスンだったが…。

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似たテーマの作品に『デッドマン・ウォーキング』などがありますが、こちらは、男女の双方が死に急いでいるという、よりエキセントリックにも見える設定。にもかかわらず、非常に静かな作品です。

抑えた色調の映像。そのなかで、光と影の使い方がとてもキレイ。見入ってしまいます。しかし、だからこそ、殺人現場の鮮血の印象が、ずっと脳裏に焼き付いてしまう、という効果もあって。そしてその色は、最初は怒りの赤であり、次第に、主人公ふたりの気持ちの変化とともに、犠牲の赤へと意味が変わっていくようです。

物語は極めてオーソドックスな構成です。反目しあう男女が、あるきっかけで互いの悲しみを知り、理解しあい、愛し愛されることで“生きる”ことに一歩踏み出していく。そのストーリーに回想シーンを交えながら、ふたりの過去を明らかにしていく構成。

殺人を犯し、死刑を望む青年の真意はなんだったのか。自殺未遂をし、非社会的な発言を繰り返す女性の背景になにがあるのか。次第に明らかになっていくふたりの過去。

ともに、生きるという本能さえ捻じ曲げられるほどに強い怒りと絶望を抱える男女。そのふたりに周囲の人々の心情を繊細に挟み込んでいくことで、ふたりが出会うことでおきる化学反応に説得力が加わりました。

周辺の人物たち、特に、被害者家族、主人公の青年よりやや年長の死刑囚、そして死刑執行人についても、それぞれの葛藤を表現させたことで、物語に深みが加わって。単純に男女の愛情を描くだけではない、観るものに多くを問いかけ、考えさせる作品に昇華されています。

人が人を赦すことは可能なのか、可能だとしたら、それはどういうことなのか。また、人が人を裁くことは可能なのか。

被害者の母親がその葛藤を訴える場面は、相当にデリケートで重く、複雑な心情。憎しみと絶望と、しかしそこから這い上がろうとする思いと、でもやはり赦すことなんてできない、でも…。母親の心のなかに渦巻く、答えのない自問自答。そして、彼女の決意、行動。ずしんと心に響いてきます。

そういったすべての登場人物の思いを含んだ上で問いかけられる、死刑という制度のありよう。

しかし、単に重く悲しいドラマなわけではなく。ラストに映し出される「幸せな時間」の思い出は、私たちに改めて、毎日のなかにふわりふわりと幸せな時間が存在すること、それがあるから生きているということを、静かに伝えてくれます。

主演のカン・ドンウォン、イ・ナヨンともにぴったりの適役。イ・ナヨンは『悲夢(ヒム)』でオダギリジョーさんの相手役だった女優さんですね。

非常に胸に迫る、そして見応えのあるドラマです。

ぜひご覧ください。





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