岩手県一関市には、「ひとめぼれ」など全国でもゆびおりの高品質な米が取れる豊かな土地が広がります。その一関で米農家の農業ばなれが増えています。

 

全農岩手は9日、2024年産米で農家に支払う「概算金」(仮払い)について、「ひとめぼれ」で2023年比37%増の1等米60㌕あたり1万7000円に決定。県内各所も同様に、おおむね昨年比3~4割増で計上されました。

 

県内では民間業者が農家を戸別訪問し、概算金を上回る同2万~2万3000円の買い取り価格を提示してるといいます。

 

農協関係者の一人は、民間業者の価格つり上げ競争が、スーパーなどでの高騰の一因にあると指摘。一方、「農家は数十年も減反と米の低価格にいじめられてきた。大切に育ててきた米だ。高価で売れるのをうれしくない者(もん)はいない」と率直に話しました。

 

10年で23→7

 

JAいわて平泉での23年産米の概算金は「ひとめぼれ」の1等米60㌕あたり1万1600円でした。全国医で米農家の収入は時給に換算してわずか「10円」。自分の収入を度外視しなければ農業は続けられない状況が続いています。米農家は10~20年の10年間で、116万戸から70万戸に激減しました。

 

「離農の原因は自民党。とくに安倍政権だ」と憤るのは、市内で田んぼを保有するAさん(70代)。保有する田の面積に応じて農家1戸ごとに国が費用を補助する「所得補償」(10年に民主党政権が開始)を安倍政権が廃止(14年)したことを批判します。

 

Aさんは離農者から委託されて米を生産していますが、近年は委託も減り、放棄田が増えています。田んぼは2年以上手を入れないと土壌が荒れ、元に戻すには数年かかります。集落では23戸あった農家が10年間で7戸まで減りました。Aさんは悔しさをにじませます。

 

「いくら自然が一級の土地をめぐんでも、人間が耕さなければ無意味だ。一関は農家でもってきた。耕す者がいなくなれば、集落もおのずと消える」

 

お互い苦しい

 

政府は新米が出回り・「品薄感が解消に向かっている」(17日、坂本哲志農林水産相)などと見通しを示しますが、備蓄米の在庫は6月末時点で156万㌧で、「適正在庫」の200万㌧からかけ離れています。

 

自身も米農家である日本共産党の斎藤禎弘一関市議は、「所得補償」とともに党が提案する、政治が介入して米など農作物の値段を一定の水準にたもつ「価格補償」が必要だと語ります。

 

 

「高価な新米が少し出回るだけでは結局、生活の苦しい人に米が届きません。現状は、農家も苦しいし、消費者も苦しい。お互いに分断と対立を生まないために政治が果たさなければいけません。緊急に政府が備蓄米を出す。そのためにも生産量を抜本的に増やす必要があります。

 

 

2024年9月26日付「しんぶん赤旗」より

 

 

この米価格の上昇と品不足は政府の失政です。緊急に備蓄米を放出し、新米はその後に市場に出すべきでしょう。政府が進めてきた「減反政策」は破綻していると言ってようと思います。価格を定めなければなりません。政府の責任でです。