バロック音楽には聞き覚えのないジャンルの作品はあります。

 

オペラ、これは現在と同じように、舞台でのセリフを歌唱により表現するものです。16世紀末にフィレンチェで初のオペラが上演されました。古代ギリシャの演劇を復活するにあたり「当時はセリフは歌によった」という意見により始まったものです。1609年にクラウディオ・モンテベルディの「オルフェオ」により、一気に完成の域に至ったものです。

 

オラトリオ、これは聖書に基づいた歌を合唱やレスタティーボ、アリアなどで表現したものですが、オペラと違う点は劇ではなく歌唱により進行していくことです。17世紀中頃、イタリアのジャコも・カリッシリミにより始まりました。普通は教会の中で歌われていました。これを一般の劇場で行うようにしたのが、ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルです。

 

パッション、これは日本では「受難曲」と呼ばれ、オラトリオの1種類と呼べるものです。ただ規模はオラトリオより大きくなっています。そしてイエスの受難と十字架上の死をテーマとしています。特にドイツにおいて発達しました。ヨハン・セバスティアン・バッハの「マタイ受難曲」と「ヨハネ受難曲」は有名です。