2022年度の自衛官の中途退職者が前年度より432人増え、直近15年間で最多の6174人に達したことがわかりました。本紙の取材に防衛省が明らかにしました。

 

イラク、インド洋などへの海外派兵の拡大に伴い退職者が急増した07年度の5952人を超えるもので、岸田政権が進める「戦争する国」づくりに伴う現場自衛官の任務激化や組織の深刻なハラスメントの実態が浮き彫りになっています。

 

顕著な中堅層うながる

 

とりわけ顕著なのが中堅層の退職です。3尉以上の「幹部」は前年度比で41人増、現場の中核を担う「曹」に至っては319人も増加しています。このため、部隊そのものが成り立たない事態も相次いでいます。防衛省は昨年公表した「人的基盤の強化に関する有識者検討会報告書」で、他の公務員と比較して中途退職者が多いと認めたものの、有効な対策は示されていません。

 

岸田政権は22年に閣議決定で強行した安保3文書で、「戦争国家」づくりの根幹として「人的基盤の強化」を表明。ところが、そうした「戦争国家」づくりに伴う任務激化が現場自衛官の心身の負担増加につながる悪循環が指摘されています。

 

退職者増加のもう一つの背景としてハラスメントの横行があります。元自衛官の五ノ井里奈さんが隊内で受けた性暴力を告発し高まった自衛隊への批判を受け、防衛省は22年にカラスメント調査として「特別防衛監察」を実施。しかし申告への報復などの恐れから、申告者は全隊員のわずか0・6%にとどまり、また十分な調査を行わないばかりか、組織が告発者に二次被害を与えるなど、名ばかりの「ハラスメント撲滅」が現場隊員の失望を招いています。

 

若い人が不足

 

退職者増加の一方、22年度は自衛官募集者数もあらゆる階層で減少。現員数も20年度から2年連続で減り、定員に対する充足率は92・2%にとどまっています。中でも、もっとも若い隊員が多い多い「士」の充足率は75・6%にとどまる事態となっています。「自衛隊の人権弁護団・北海道」の佐藤博文弁護士は、「若い人が極端に不足している現れだ」と分析しています。

 

 

2024年7月2日付「しんぶん赤旗」より

 

 

性的ハラスメントの問題は、男性ばかりの職場に女性が入った時に引き起こされるもののようです。最近は従来が男性ばかり乗っていた自衛艦にも女性自衛艦が配置されています。性的ハラスメントが発生すると思われます。「船乗りは女性を乗せるのを拒む」というのは、こうしたケースがあることを前提としているのでしょう。

 

余談ですが、ずいぶん以前にチョソン民主主義人民共和国で、漁船の乗組員の半数を女性にしたところ、船内の風紀は乱れてしまったことがあったそうです。