在沖米空軍兵士の男が未成年の少女を誘拐し、自宅で性的暴行を加えたとして起訴された事件で、日本政府は少なくとも3カ月間、事件を起訴しながら、沖縄県に情報を提供しませんでした。

 

玉城デニー知事が25日、記者団に「昨年12月に起きていた事件だ。連絡がなかった著しく不信を招くものでしかない」と強い憤りを見せたように、いかなる理由があっても、政府による情報提供の遅れは許されません。県民の金や人権より日米同盟強化が最優先という政府の姿勢が如実に示された4ものと言えます。

 

外務省は少なくとも起訴された3月27日に把握。同日、岡野政敬外務省事務次官がエマニュエル駐日大使に「遺憾の意を申し入れ」ました。林芳正官房長官は6月26日、県に伝えなかった理由について「捜査機関の活動に関わるので、答えは差し控える」と述べました。エマニュエル氏も5月17日に沖縄県の与那国島と石垣島を訪問しましたが、事件につ言及しませんでした。

 

2016年4月にも同県うるま市で、元米海兵隊員が20歳女性にに性的暴行をしようとして殺害する事件が発生。米軍基地があるがゆえの凄惨(せいさん)な事件に、同年6月の県議選でも基地問題が大争点になりました。米議会調査局(CRS)も県議選後に公表した報告書で「(女性暴行殺人事件が)沖縄県議選で翁長(雄志)知事の与党が多数を獲得した要因の一つになった」と分析するほどです。今回も、6月16日投開票が終わるまで発表を遅らせたとの見方も出ています。

 

沖縄での米兵犯罪は、米軍の特権を定めた日米地位協定を背景に、増加傾向にあります。政府が日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に提出した資料によると、23年1~11月に発生した米軍人・軍属、その家族による刑法氾の摘発件数は116件に上り、13年以降で最多。不同意性交も3件発生しましたが、性暴力被害などを告発するとパッシングされることが多く、氷山の一角である可能性があります。

 

今回の事件についてデニー知事が「基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民は強いて不安を与えるだけでなく、女性の尊厳を踏みにじるものだ」と述べたように、基地の存在によって女性を含む県民の尊厳が踏みにじられてきました。

 

政府はまず県とともに再発防止に全力で取り組むべきです。そのうえで根本的に解決するには、米軍基地の撤去や日米地位協定の改定が不可欠です。

 

 

2024年6月27日付「しんぶん赤旗」より

 

 

思ったとおり、県知事選が終わるまで県にはこの事件について、情報を隠していた可能性が大です。国は翁長知事の時代に県議選投票日以前に県に情報提供したことがあり、県議選で自民党側が敗北したことがあり、その時の再来を恐れたのでしょう。言い換えれば当時の国は、現在のそれより正直であったということでしょう。