公立学校の教員の長時間労働の解消ついて議論してきた中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は13日、「審議まとめ」を大筋で了承し、盛山正仁文科相に手渡しました。教員を労働基準法の残業規制の対象外とし長時間労働を野放しにしてきた「残業代不支給制度」には手を着けないまま、現在月給の4%を一律に支給している教職調整額の10%への引き揚げ求めました。

 

今後、中教審総会での議論やパブリックコメント(意見公募)を経て、文科相に答申する予定です。

 

審議まとめは、現場のようぼうが強かった教員1人が受け持つ授業時間数の上限設定や、教職員の基礎定数の改善も見送りました。一方で中堅教員向けに「新たな職」を創設し、給与面で優遇する方向性を提示。教員を階層化し、教職員の共同を破壊しかねないとの批判が上がっています。

 

委員からは「超過勤務への歯止めが無いままでは健康確保はできない」、「自己研さんであっても全てを自発的行為とするのは時代にそぐわない。今後、在校等時間を労働安全衛生法上の労働時間相当として見なすようにすべきだ」などの意見が出されました。

 

斎藤正富・全日本中学校長会は、小学校での35人学級の効果検証を待つことなく、速やかに中学校を35人学級化するよう強く求めました。

 

審議まとめが、法律で定める基礎定数より、国が政策目的に応じて配分する加配定数を重視していることについても、財源が毎年度変動する非安定さから非正規雇用教員の増加につながりかねず「教員不足はいっそう悪化する」との批判が出されました。

 

国内総生産(GDP)比で先進国のなかで最低水準となっている日本の公的教育支出を高め、教育環境を改善するよう求める声もありました。

 

 

2024年5月14日付「しんぶん赤旗」より

 

 

悪名高い「中央教育審議会(中教審)はまだ残っていたのでした。1960年台に「期待される人間像」などということを提唱した、一貫して公立学校や教職員に対する締め付けを行ってきた諮問会議です。

 

4%の調整手当を10%にしたところで、公立学校の教職員の時間外の勤務状態は改善されません。とにかく長時間労働を回収することです。そして時間外勤務に対しては超過勤務手当(残業代)を支給するべきです。

 

日本の公的教育支出が先進国(おそらくサミットのメンバー国のことでしょう)の中で最低であることは、初めて知りました。