日米首脳会談の合意に沿って、「戦争する国づくり」を進める法律が10日の参院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成で次々に可決・成立しました。政府は、兵器の共同開発を推進するために同盟国・同志国と同等の秘密保全体制を整備する経済秘密保護法について、最後まで軍事分野とは無関係であるかのような説明に終始。陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」創設などを盛り込んだ改定防衛省設置法も、自衛隊を米軍の指揮下に組み込むという最大の狙いを認めないまま、わずかな審議時間で採決を強行しました。衆院では外務委員会で、英国・イタリアの次期戦闘機の共同開発・生産・輸出を推進するための政府間機関(CICO)を設立する条約の承認案が可決。日本共産党はいずれも憲法の平和原則を踏みにじるものだとして反対しました。市民が集まり抗議行動を展開し、「戦争する国、反対」「思想調査反対」の怒りの声をあげました。

 

日本共産党の井上哲士議員は、経済秘密保護法案の反対討論に立ち、同法は米国と日本の財界の要求に応え、科学技術全体を軍事に動員するためのものだと告発し「日本を戦争国家、氏の商人国家におとしめる法案は断じて認められない」と厳しく批判しました。

 

岸田文雄首相はこれまで゛同法は軍事とは無関係゛との説明を繰り返し、「防衛装備に係る諸外国との技術協力への対応を想定したものではない」と答弁してきました。井上氏は、一方で、軍需産業への参入を希望する企業からは「セキュリティー・クリアランス(適正評価、SC)」を求める声が上がり、質疑では経団連の参考人がその狙いを認めていると指摘。さらに、米英豪の軍事的枠組みAUKUA(オーカス)や駐日英大使が兵器の共同開発に関わってSCを含む情報保全体制を要求していることなどを挙げ、これらの追及に一度もまともに答えない首相の姿勢を糾弾しました。

 

政府は、各省庁が実施する民生利用目的の研究の中から防衛省の研究開発に結びつく可能性が高いものを効率的発掘・育成する目的で「マッチング事業」の認定まで初めています。井上氏は、「政府はこの事業による研究成果で軍事利用の可能性が出てくれば、重要経済保安情報の要件を満たす形にして指定できることを否定しなかった」と指摘。「科学技術全体を防衛目的に動員することを可能にする」と批判しました。

 

また、法案が秘密を扱う人に関するSCの調査は、個人情報を根こそぎ調べ上げるものだとして、「個人の思想・心情・両親の自由っを踏みにじり、日本を監視社会にする憲法違反の法案は認められない」と訴えました。

 

 

2024年5月111日付「しんぶん赤旗」より

 

 

岸田首相の答弁は答えになっていません。問題点を隠そうとするから、このような答弁になるのでしょう。

 

こうした悪法は、施行したら政府の意思を抜け出して、一人歩きを始めるものです。「経済秘密保護法」も法律が制定されれば、いずれ一人歩きを始めます。現代の私たちは戦前・戦中に「治安維持法」がどのような役割を演じたかを知ることが可能です。いずれは一般人もあれこれロ雄をつけて、適用される可能性を含んでいます。

 

もう一つの悪法である「統合司令部設置法」も自衛隊が米軍の指揮下に入ることを前提とした法理チュであることは言うまでもありません。米軍の指揮下で「台湾有事」の場合、米軍と共に中国侵略戦争に乗り出す可能性があります。そして戦死者は靖国神社に祀られることになります。

 

この法案は悪法です。施行前に廃案にしなければなりません。また社民党はこの2つの法案に反対したのでしょうか。社民党が前進の社会党の「立等の精神」を忘れていなければ、両法案に反対していると思うのですが。