【ワシントン=時事】米政府は24日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対する約10億㌦(約1550億円)の追加軍事支援を発表しました。援助に必要な追加予算を盛り込んだ支援法の成立直後の表明となり、ウクライナを支えるバイデン政権の意思を強調した形になりました。最大射程約300㌔の長距離地対地ミサイル「ATACMS」を既にウクライナに供与したことも公表しました。

 

バイデン氏は24日、支援法への署名後にホワイトハウスで演説し、「プーチン(ロシア大統領)がウクライナで勝利すれば、次は北大西洋条約機構(NATO)加盟国への直接攻撃となる可能性が非常に高い」と警告。その上で「プーチンが米国を将来の欧州の戦争に巻き込むのを阻止するため、ウクライナ支援を進める」と語りました。

 

今回の支援には、歩兵戦闘車「ブラッドレー」や高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)用弾薬などのきょうよを盛り込みました。米国の対ウクライナ軍事支援は今年に入り2回目。全回3月は経費を節約して捻出していました。

 

サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は記者会見で、3月に発表した軍事支援の一環として「相当数のATACMS」をウクライナに既に引き渡したと明らかにしました。ウクライナ軍が今月17日にロシア軍の占領下にある南部クリミア半島の飛行場を攻撃する際などに使用されました。

 

米政府は昨年10月にもATACMSをウクライナに秘密リ裏に引き渡しましたが、射程約160㌔の短いものに限っていました。サリバン氏は「(法成立を受けて」追加資金を得たので、さらに送るつもりだ」と述べました。

 

 

2024年4月26日付「しんぶん赤旗」より

 

 

悪魔(ロシア)と対決するために、もう一人の悪魔(米国)とその眷属(けんぞく・NATO諸国)に助けてもらう。現在のウクライナはこのような状態に置かれているのです。

 

まだ、このウクライナ戦争の行方は分かりません。現在はロシアが優勢とみられていますが、米国とNATO諸国(とりわけ英・仏。独の3国)からの軍事援助が再開されれば、また状況は変化してくるでしょう。