岸田文雄首相は21日、東京・九段北の靖国神社で始まった春季例大祭に合わせ、祭壇の真榊を奉納しました。23日までの期間中、自身の参拝は見送る意向です。一方、新藤義孝経済債権担当相は同神社を参拝しました。

 

新藤氏は参拝後、記者団に「私的な行為だ」と開き直り、玉串料奉納の有無や貴重の肩書きについての説明は拒否しました。

 

岸田首相は2021年10月の就任以降、毎年春と秋の例大祭に真榊を奉納し、8月の終戦記念日には玉串料を納めています。

 

靖国神社は戦前、戦死した軍人を「英霊」=神としてまつることで、国民の戦意をあおり侵略戦争に動員する役割を果たし、戦後には過去の日本の侵略戦争を゛アジア解放の正義の戦争゛として美化、正当化してきた特異な施設です。同神社への首相や閣僚、国会議員らの参拝や祭具奉納は、同神社と同じ歴史観に立つことを内外に示すものです。

 

しかも、今年1月、陸上幕僚監部のナンバー2の副長(陸将)らが同神社を集団参拝したことが本紙でスクープされたほか、海自部隊の幹部らの集団参拝が25年異常前から部隊の行事として行われていた疑いが発覚したばかりです。

 

宗教施設への部隊参拝を禁じた事務次官通達(1974年)に違反する部隊単位での同神社参拝への批判が強まっているさなかの首相の真榊奉納や閣僚の参拝は,政教分離を定めた憲法への違反に加え、最高指揮官である首相が、自衛官に異常な歴史観を植え付けかねないなどの重大な問題をはらんでいます。

 

 

2024年4月22日付「しんぶん赤旗」より

 

 

靖国神社への個人参拝や集団参拝や真榊奉納・玉串料奉納を自衛官を含む政府関係者が、平然と行っているのは、いずれ日本国憲法は「改正」されるから構わないと考えているのかも知れません。