衆参両院の憲法審査会で、国会議員の任期延長改憲(任期延長改憲)をめぐる攻防が焦点になっています。議席数で圧倒的な改憲派の足並みがそろってきました。自民党の狙いはこの改憲を、憲法9条改憲、緊急事態条項改憲への「突破口」「導入口」とすることです。改憲問題対策法律家6団体連絡会事務局長の大江京子弁護士に危険な本質を聞きました。(遠藤寿人)

 

ー自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、有志の会(改憲5会派)がもくろむ任期延長改憲とは?

 

緊急事態(①外部からの武力攻撃②内乱などの社会秩序混乱③大規模な自然災害④感染症の大規模なまん延)などで選挙の実施が困難なときに、内閣の判断で、国会議員の任期を半年または1年、延長する改憲です。

 

 

国民主権形骸化

 

任期延長改憲の問題点は大きく二つあります。内閣の恣意(しい)的な判断で①国民の選挙権を停止できる②平和憲法に日本が「外部からの武力攻撃」を受け戦争となることが明記されるーことです。まさに「戦争する国づくり」のための改憲の一環なのです。

 

主権者である国民(1条)が選挙権を行使して、国会議員を選ぶことは民主主義の根幹です。

 

その国民固有の権利である選挙権を内閣の判断で一定期間、停止することは国民の参政権をはく奪であり、憲法の基本原理である国民主権の形骸化です。最高裁判決でも国民の選挙権やその行使を制限することは原則、許されないとしています。

 

しかも、選挙の実施が困難であるかどうかの判断を内閣に委ねることは、時の政権の思惑により、選挙が延期できることになり、許せません。

 

ー岸田政権は2022年12月16日、専守防衛に徹するとしてきた安全保障政策を大転換して、安保3文書の改定を閣議決定しました。

 

しかし、安保法制(戦争法)と安保3文書だけでは「戦争する国」は未完成です。最大の障害物は憲法9条2項です。(戦力不保持と交戦権の否認)で、これを無効化することが改憲の真の狙いです。

 

 

2項の削除にも

 

今野憲法には、有事を限定した戦争に関連する規定はありません。国際紛争を解決する手段としての戦争を永久に放棄した非戦の憲法に、武力攻撃の発生を前提にした文言が明記されれば、憲法が戦争を予定することになってしまいます。

 

そうなると、戦争から国民を守るには「自衛隊が必要だ」となり、自衛隊が憲法に明記されるでしょう。国民を守るための「戦力を保持するべきだ」との主張が強まり、陸海空軍など戦力の保持を禁じ国の交戦権認めないとした9条2項の削除にもつながります。

 

さらに、内閣に立法権を認める緊急政令の制定を認める緊急事態条項改憲へと進むのは必至です。際限なく平和主義の9条の形骸化が進んでいきます。

 

任期延長改憲は議員の任期が延長されるだけでの「お試し改憲」ではなく、改憲派が狙う本丸、9条改憲、緊急事態条項改憲へ突破するための「導入口」にほかならないのです。

 

 

2024年3月25日付「しんぶん赤旗」より

 

 

やはり憲法改悪の目的は「9条改憲」と「緊急事態条項改憲」のようです。来年の2025年9月2日は敗戦から80年になりますが、ここにきて政府・自民党は「大日本帝国」の亡霊に魂を吹き込んだように思います。

 

もしも「台湾有事」となった場合、政府・自民党が憲法改定の目玉とした、憲法9条改定と緊急事態条項新設が発動して、日本は米国とともに中国侵略戦争に乗り出すことになるのてしょう。また、米国による対チョソン戦争が発生した場合は、チョソンの核兵器搭載搭ミサイルが日本国内の米軍基地に打ち込まれるようになると思います。

 

日本維新の会と国民民主党は改憲勢力です。彼らの言い分に耳を貸してはいけません。知らない間に私たちは共犯者にされてしまいます。

 

改憲時に国民投票に関した条文も削除されるか、ユルユルな内容に変えられる可能性も考慮しておく必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー岸田政権は