インド仏教の権威だった中村元氏がパーリ語文献から翻訳したこの書は、「イエスの受難」を描いた新約聖書とともに、宗教文学の傑作とでも呼ぶべき書です。

 

霊鷲山から最期の旅に従者のアーナンダを連れて北(おそらく故郷であるガピラバストゥ―を目指したとの説があります)へと旅だったブッダですが、入滅の池であるクシナガラまで、雨期を挟んで6カ月かかったといいます。

 

特に鍛冶屋のチュンダの家でキノコ料理(一説には豚肉料理とも)を口にし、食中毒を起こし血便を出しながら沙羅双樹の木の下に横になり、それでも教えを説きます。ブッダはどんな人に対しても差別することなく接したのです。開祖であるブッダ(この本では「尊師」と称されています)の精神を受け継いで、仏教とは「差別を嫌う宗教」とされています。遊女アンダパーリーとのエピソードはそうしたブッダの姿勢を物語っています。

 

で、どうしたことか手元に追いていたこの文庫本が行方不明になってしまいました。一体どこに消えてしまったのか・・。

 

もったいないかも知れませんが、新たに購入しようかとおもっています。まだ廃刊にはなっていないと思います。