政治への国民の信頼回復こそ、今国会の最大の使命であり、予算審議の前提です。「赤旗」日曜版のスクープで明らかになった自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件がマスメディアでも大きく取り上げられてから3カ月が経過しましたが、真相究明はまったく進んでいません。そのもとでの衆院での2024年度予算案の採決強行にはまったく道理がありません。裏金事件の真相究明のための質疑が行われている衆院政治倫理審査会(政倫審)と同時並行での予算案の採決を強行させた岸田文雄首相の対応は、自民党政治の深刻な行き詰まりを表しています。

 

 

調査漏れ不記載

 

自民党は、裏金事件に対する国民の怒りは広がる中で、党内のアンケートを行いました。政治資金パーティー収入の記載漏れの有無とその金額を自己申告するだけの調査です。議員への聞き取りも行いましたが、その報告書では議員名は秘匿し、裏金づくりの目的や使い道などは明らかにしていなません。「赤旗」日曜版(3月3日号)が,麻生派(志公会)の伊の井上信治元万博担当相にも自民党調査から漏れていた裏金の不記載があったとスクープ。自民党の調査のずさんさがあらわになりました。

 

85人もの自民党議員らが裏金の不記載を認めているのに、政倫審への出席は6人だけ。しかも、うち5人は当初、「完全公開」を拒否し、対応が二転三転しました。岸田首相は自ら公開の政倫審で首相が語ったのは、自民と王の報告書にすでに書かれていることばかり。裏金システムをつくった経緯や理由、使途など、真相解明につながる新しい事実は語りませんでした。

 

自らの出席で裏金事件の幕引きを図ろうとした首相ですが、真相究明への後ろ向きの姿勢が際立ちました。翌日付隠しは「従来の説明なぞる」(「朝日」)、「(従来説明を繰り返す)」などの見出しを掲げました。

 

 

国民へのなく

 

その上、政倫審開催中の予算案採決強行です。その予算案は、物価高で苦しむ国民への支援や賃上げには無策にもかかわらず、大企業への減税や補助金の゛大判振る舞い゛ぶりは変わらず、企業・団体献金を背景にした大企業優先の自民党政治そのものです。裏金事件の真相究明に背を④向けるのは大企業優先の自民党政治だからです。

 

さらに予算案には、過去最大の8兆円の軍事費を盛り込んでいます。米国の軍事戦略を担うために、違憲の敵基地攻撃能力となる長射程ミサイルの開発や大量取得などを進めるものです。

 

裏金疑惑の真相解明には後ろ向きで、国民の暮らしへの支援は不十分で、軍拡と大企業には大判振る舞いの自民党政治の行き詰まりは深刻です。(若林明)

 

 

2024年3月3日付「しんぶん赤旗」より

 

 

政倫審(政治倫理審査会)の開催で、何か新しい事実が明らかになるのかと思いましたが、予想はしていましたが、何ら新しい事実は出てきませんでした。こうした事態を考慮して「裏金プールシステム」を作り上げたのでしたら、その人物は相当な知恵者で

す。

 

これはやはり証人喚問を実施して、嘘を許さないようにしないといけません。しかし東京地検特捜部が派閥の長と、派閥の会計責任者(事務総長)を立件・起訴ができなかったことで、検察側の事実上の敗北だったと言わなければなりません。「政治とカネ」の悪循環を断ち切るためには、連座制の導入が必要だと思います。