自民党派閥の裏金問題をめぐって29日に開かれた衆院政治倫理審査会は、岸田文雄首相が出席して行われたものの、自民党が組織的に裏金づくりをしてきた違法行為の実態解明にはほど遠いものtろなりました。自民党の聞き取り調査報告(15日)をなと強調しました。自民党の聞き取り調査報告(15日)をなぞるだけの岸田首相に対し、日本共産党の穀田恵二議員は「報告書で分からないことを分かるように努力するのは全容解明の初歩だ。何ら手を打たず、報告書通りの話をしていたのでは何のための弁明か」と批判。「疑惑を持たれている方々に証人喚問しかない」と強調しました。塩川鉄也議員は「組織ぐるみの違法行為であり、全容解明が求められる」と二階派(走帥会)の武田良太事務局長に迫りました。

 

 

指相は「先頭に立つ」のか・・・ 「報告書に明記」一辺倒

 

政治の信頼回復に向けて私自身が先頭に立つ」-。冒頭の弁明で岸田首相はこう述べました。しかし、その決意としは裏腹に発言は極めて後ろ向き。自らが率先して真相解明に取り組む意思はまったく見えません。

 

自民党が組織的に裏金をつくっていた問題に党総裁としてどう責任を感じ、どのような真相解明を進めていくのかが問われました。

しかし、岸田首相の弁明は「さまざまな説明の努力が続けられている」などとまるで人ごと。当事者意識が欠如しています。

 

そもそも違法行為との認識があるのか。穀田氏が「今度の裏金づくりは政治資金規正法に違反するとの認識はあるか」とただしたのに対し、岸田首相の答弁は「検察において判断が下された」ー。あまりにも無反省です。

 

立憲民主党の野田佳彦議員は「そろそろ党の処分というのも考えなければいけない時期が来ているのではないか」として「責任の取り方」を質問。岸田首相は「状況を踏まえながら政治的責任を判断する」と述べるだけ、具体的な処分について明言しませんでした。

 

焦点は、誰が何の目的で裏金づくりのシステムをつくり、どのようにしてそのシステムが「継承」されてきたのかです。

 

自民党の聞き取り調査報告では、安倍派(清和政策研究会)において、遅くとも十数年前から裏金づくりが行われていたことが明らかになっています。また、派閥事務局から所属議員に対し、還付金をを政治資金終始報告書に不記載にするよう指示があったことも判明しています。

 

日本維新の会の藤田文武議員は「事務方がこれだけ大がかりなスキームをつくったと考えにぃ牛くい。おそらく誰かが指示したのでは」とただしましたが、岸田首相は「ご指摘の点はかくにんできていない」とまともにこ答えませんでした。

 

穀田氏は、安倍派の中に裏金づくりを是正する動きがあったことを指摘し、「いったんやめるとした慣行を誰が復活させたのは」と追及。また、清和会の会長だった森喜朗元首相をはじめ派閥幹部に聞き取り調査を行ったかもただしました。

 

岸田首相は何を聞いても「報告書に明記している」と一辺倒の答弁に終始。穀田氏は「報告書で明らかになった内容はほんの一部だ。世論は明らかにこれでは不十分だと言っている。今の答弁を聞いていても何ら新しい前進はない」と批判しました。

 

 

首相自身の疑惑は・・ 疑念招かぬと開き直り

 

岸田派(宏池政策研究会)の会長だった岸田首相自身も裏金疑惑がかけられている張本人です。ところが岸田首相は自らの疑惑について従来の説明を繰り返すだけでまともに語らず、疑念が積み残されたままの弁明になりました。

 

岸田派では、2018年~20年の間に3059万円の政治資金パーティー券収入が不記載となっていました。

 

岸田首相は弁明で「誰が打ったか不明のものについて収入額の計上の際に漏れるなどしていた」「当時の会計責任者の会計知識の誤解や、帳簿作成上の転記ミス等、事務処理上の疎漏(手落ち)によるもの」などと述べただけ。

 

不記載だった3059万円について問われても「修正した金額に合う形で口座に残っていた」などとこれまでの説明を繰り返しました。法律上の時効にかかる前の18年より前に不記載があったかについても「資料を確認できなかった」としか答えませんでした。

 

岸田首相個人も「大臣規範」で自粛を求められる大規模な政治資金パーティーを毎年のように開き、22年までの5年間で計6億5000万円以上の収入を得ています。この問題を問われても岸田首相は、パーティーを「勉強会」と言い換え「国民の疑念を抱くものではない」と開き直りました。

 

岸田首相は昨年12月に開催予定だったパーティーを延期したまま、パーティー券代を返金せずにいます。首相在任中にパーティーをやらないと明言できるかと追及され、しぶしぶ「在任中にやることはない」と答弁。「やらない」と明言した以上、未返金ののパーティー券代をどうするかが問われています。

 

 

二階派 武田氏は・・・ 「事務局任せ」繰り返す

 

二階派の事務総長の武田良太元総務相は趣旨弁明で、「虚偽記載は全く知らなかった」「ノルマを超える額について、秘書の判断で事業収入として計上していた」などと述べ、すべて「事務方」の責任として組織的な裏金づくりの実態について一切語りませんでした。

 

二階派は、2022年までの5年間で約2億6500万円の政治資金パーティー収入を政治資金収支報告書に記載していませんでした。武田氏自身も5年間で1926万円の不記載があったと述べ、ました。また、自民党の全議員所属国会議員アンケートの調査結果で二階派は「少なくとも10年前からは今の仕組みや処理になっていた」と裏金づくりが長期にわたり、組織的におこなわれていた実態を認めています。

 

ところが、武田氏は「私や二階(敏博)会長がノルマを決めたりしていない」「還付金(キックバック)の制度も知らなかった」などと答弁。事務総長であるにもかかわらず、裏金事件に無関係との姿勢を押し通しました。

 

日本共産党の塩川鉄也議員は、「政治資金規正法違反の虚偽記載を志帥会が組織ぐるみで行っていた。全容解明が求められる」と追及。塩川氏が「派閥としての違法行為が問われており、武田議員は全容解明を行う責任がある」と迫ると、武田氏「経理は事務局長に全て任せていた」と繰り返しました。塩川氏は「国民の疑念晴れるものではない」と批判し、二階議員などの関係者の国会出席を求めました。

 

 

2024年3月1日付「しんぶん赤旗」より

 

 

肝心のところ、一番知りたいことを問われると、途端に口ごもるか「知らない」と発言するか、聞いているとこちらが不完全燃焼を起こしそうになりそうです。

 

こうした手法を考えつき、それを指南した人物を証人喚問に出席させないと、全容解明は困難だと思います。派閥の事務総長には、全貌がみえないような仕組みになっているのでしょう。