海上自衛隊練習艦隊司令官らが2023年5月に靖国神社(東京都千代田区)に集団参拝した問題で、少なくとも1998年からほぼ毎年制服での集団参拝を25年超も続けていたことが25日、本誌の調べでわかりました。昨年の集団参拝について酒井良海上幕僚長は「研修の合間に、故人が自由意思のもとで私的に参拝した」と説明していますが、実際には部隊の恒例行事だった疑いがさらに深まりました。

 

本紙が、同神社の社報「靖国」の記事を98年から調べたところ、98~2019年まで毎年、集団参拝の記事が掲載されていました。

 

「靖国」(23年7月号)によると、「遠洋練習航海は、この春に幹部候補生学校を卒業したばかりの初級幹部にたいし、各部隊への着任直前に行なわれている。(中略)出発前には当神社へ正式参拝している」としています。

 

新型コロナウイルスが世界的に流行していた20~22年は、航海の時期と規模を変更して行なわれました。その間は「靖国」に集団参拝の記事はありませんでした。

 

98年6月号の記事は「幹部候補生は黒の制服姿で伝内に整列し古庄幸一司令官の奉る玉串礼拝に合わせ礼拝を行ない、先輩諸英霊の冥福と遠洋航海の安全を祈念した」としています。

 

16年には「遊就館をを拝観した後に本殿に参拝した」とあり、17~19年も「遊就館拝観後に正式参拝した」と報じています。

 

館内にある遊就館は、旧日本軍の侵略戦争を美化する展示施設。第2次世界大戦を「大東亜戦争」と呼び、「正義の戦争」としています。

 

酒井海幕長は20日の会見で、「遊就館に研修として訪問していないと認識いる。自由時間に行ったかどうかは把握していない」と述べていましたが、集団参拝と遊就館拝観がセットになっていた疑いがあります。

 

海自は公表資料で、練習航海に参加する幹部候補生課程修了者の人数を明らかにしています。例えば15年には「約170名」となっていますが、同年の「靖国」には「(司令官と)初級幹部等172名」が参拝したとしています。

 

酒井海幕長は「個人が自由意思のもとで私的に参拝」としています。しかし、毎回の参拝者数が幹部候補生と司令官を合わせた人数とほぼ一致することから、事実上研修の一環の可能性があります。

 

防衛省は本紙の取材に「練習艦隊として、靖国神社を参拝した事実は確認していません」と回答しました。

 

部隊参拝や参加の強制を禁じている1974年の事務次官通達に違反するかどうかについて、木原稔防衛相は「事実関係の確認は進めていきたい」(22日)と述べています。

 

 

2024年2月26日付「しんぶん赤旗」より

 

 

やはり以前から海自においては集団参拝が行なわれていたのです。靖国神社が先の戦争で、旧日本軍や日本国民に対して「戦争遂行」の意識を植え付けるための中核となっていたことに対する考察など、全く行っていないようです。また、予想はしていましたが、遊就館=戦争博物館へも入っていました。

 

靖国神社に自衛官が集団参拝するということは、「再度戦争があったら、喜んで命を国のために捧げる」と誓ったことに等しいのです。どうしてこのことが理解できないのか。いや、理解しているのでしょう。そうして「新しい戦前」を生きていくつもりなのでしょう。

 

集団参拝ははたして海自だけの問題でしょうか。陸上自衛隊、航空自衛隊においても同様のことが行なわれているかもしれません。