政府は、F2戦闘機に代わる次期戦闘機計画(GCAP)のルールを日英イタリア3カ国で推進するための強硬論強硬論同体(GICO)設定条約を通常国会に提出します。一方、次期戦闘機の第三国(英伊以外の国)への直接輸出をめぐり、与党内の迷走が続いています。

 

昨年12月、政府は武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」を改定。戦後初めて、銃や砲台、弾薬など、いわゆる殺傷兵器の輸出を容認し、「死の商人」国家への道に足を踏み入れました。一方、次期戦闘機をめぐっては、公明党が慎重姿勢を崩しておらず、輸出を容認するための三原則改定は先送りとなったままです。

 

政府は、GCAP参画企業の共同事業体(JV)が3月に基本合意され、作業分担などの交渉が本格化することから、早期に与党協議を再開し、2月中に結論を得るよう求めています。

 

連立解消しても

 

1月31日に開かれた自民党国防部会で、防衛省は、日本から第三国への輸出ができなければ「作業分担が(英伊と)対等なパートナー足りえなくなる」「国防に必要性能の実現に支障をきたし、改修の自由も確保できなくなるおそれ」があるなどと主張。出席した同党議員からは「連立政権を解消してでも進めるべきだ」などの強硬論が続出しました。

 

これに対して公明党の北側一雄副代表は同日の記者会見で、「今の状況で(2月末までに結論が)出るとは思っていない」として慎重姿勢を崩していません。これに先立ち、北側氏は、慎重な議論が必要な理由として「(次期戦闘機は)殺傷能力のある、先端技術を入れた武器」であることをあげています。(1月18日の記者会見)

 

米国主導で国際共同開発されたF35ステルス戦闘機がイスラエルに輸出され、パレスチナ・ガザ地区への空爆に投入されているように、強力な殺傷能力を持つ戦闘機を他国に輸出すれば、日本は一般市民の殺りくに加担することになります。これが「平和国家」の理念に反することは明らかです。

 

そもそも、日本から第三国への輸出にこだわる最大の理由は、三菱重工などGCAP参画企業の利益確保のためです。防衛省の主張も、第三国への輸出ができなければ英国やイタリアの性能要求できなくなる具体的な根拠を説明しておらず、説得力はありません。

 

一方、公明党は日本から「殺傷兵器」を直接輸出することは゛慎重゛姿勢を示しているものの、日本で生産された殺傷兵器が他国を通じて輸出されることは容認しています。

 

喫茶居、他国の企業から技術を得て国内で生産するライセンス(使用許諾)生産品をめぐり、同党は、①日本にライセンスを与えた「元国」に、殺傷兵器に該当する弾薬や銃、砲身などを輸出②その「元国」が、さまざまな国に輸出=転売するーことを容認。防衛省によれば、その対象は74品目におよびます。

 

さらに、次期戦闘機をめぐっても、英イタリア両国が「第三国」に輸出ことも排除されていません。

 

憲法原則に戻れ

 

党利党略ではなく、今こそ、憲法の平和理念に基づいて確立された武器輸出三原則に立ち返ることが求められます。

 

 

2024年2月4日付「しんぶん赤旗」より

 

 

第2次世界大戦前を含めて、日本は殺傷兵器を海外に輸出したことはないはずです(事実上の日本の植民地だった「満州国」は除く)。日本が「死の商人国家」になろうとしていることは明白です。

 

また自衛隊の米軍との一体カが進行しており、米軍が中国侵略戦争に乗り出す時、否応なしに自衛隊は中国に対して参戦せざるを得なくなるでしょう。

 

公明党は岐路に立っています。このまま自民党の下僕になるのか、あるいは「結党の精神」に戻るか、与党のポストのうま味を知った以上、元に戻ることは難しいのかも知れません。