自民党の麻生太郎副総裁が28日、福岡県での講演で、上川陽子外相の容姿を「おばさん」「そんなに美しい方だといわんけれど」などと発言したことに批判が高まっています。
上川氏は30日の記者会見で「どのような声もありがたく受け止めている」と述べ、問題視しない考えを示しました。一方、日本共産党の田村智子委員長は「自民党がジェンダー平等にまじめに取り組んでいない姿勢がにじみ出た」と批判。小池書記局長も28日、「言語道断で恥ずべき発言だ」と述べました。
昨年9月に発足した第2次岸田文雄改造内閣では、副大臣26人と政務官28人の合計54人の中に女性が1人もいないことが大きな問題となりました。
ただ、新閣僚の加藤鮎子女性活躍担当相は「コメントは控えたい」と発言。白見英子地方創生担当相も「私から特段、助成、男性ということについてのコメントはない」と言及を避けていました。
岸田首相は施政方針演説で「女性の活躍を全力で後押しする」と述べたものの、立ち後れる日本のジェンダー平等に対し、政治の責任として打開する決意は語りませんでした。
麻生氏は「女性が外相になった例は過去にない」とも述べていますが、過去に田中真紀子、川口順子両氏が外相を務めています。
事実誤認も甚だしい上に「女性」という属性と結びつけて政治家の容姿や能力を評価することは、ジェンダー平等の実現とは程遠い姿勢です。自民党幹部の差別発言にさえ批判できない同党の体質は、いまだ家父長制の古い価値観に浸っていることが明らかです。
2024年2月1日付「しんぶん赤旗」より
ここは上川氏に麻生発言を批判して欲しかったのですが、うがった見方をすれば、「キングメーカー」としての麻生氏に遠慮して批判を控えたとも受け取ることも可能です。これには上川氏が女性初の首相のポストに野心を持っていたら、という前提がありますが。
「ジェンダー」という概念と用語は、自民党内では否定されている可能性があります。
一部メディアには「麻生発言は文脈としては上川氏の能力を評価している」として麻生氏の発言を肯定的にとらえ、免罪する意見があるようです。
麻生太郎氏、森喜朗氏、故石原慎太郎氏が「失言」と「差別発言」の「王者トリオ」です。