経団連は16日、2024年駿東の経営側指針となる「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)を発表しました。ベースアップ(ベア)を「有力な選択肢」といいますが、実質賃金低下に正面から向き合わず、リストラ施策とセットの「構造的な賃上げ」を主張しています。

 

報告は、昨年の賃上げが「30年ぶりの高い水準」だったと誇りますが、実質賃金は20カ月連続マイナスです。ところが、算出方法を変えればプラスになると言い訳して労働者の生活悪化に背を向け、「物価上昇に対し、企業の賃金引き上げだけで対応することは現実的でない」と開き直っています。

 

「構造的な賃金引き上げ」という言葉を使い、「円滑な労働移動」などのリストラ策とセットにする考えを提示。ベアは有力な選択肢だとしますが、諸手当、一時金などから自社に適した方法を検討し、能力や業績・成果などの評価で格差をつけた配分が重要だとしています。

 

内部留保のトピックでは、利益剰余金が11年連続で増加し554・8兆円となり、10年前から250・3兆円増だと指摘。昨年に続き「賃金引き上げ」に言及しており、大幅賃上げへの活用を迫ることが必要です。

 

報告は、「数十年振りに大規模なストライキが実施された」とストの活性化を警戒し、「労使は、『闘争』関係ではなく、価値共創に取り組む経営のパートナー」と主張。ストを構えた労働組合のたたかいで、大幅賃上げを実現することが春闘の焦点だと裏付けています。

 

 

2024年1月17日付「しんぶん赤旗」より

 

 

利益剰余金が554・8兆円とは、日本の国家予算の約5倍に当たります。これを大企業に吐き出させ、労働者の大幅賃上げに結びつけなければならないと思います。

 

賃上げが物価高騰に追い付かなければ、事実上は賃下げに他なりません。

 

官公労の組合は春闘よりも、人事院勧告が出された後の「秋闘」が主とした闘いになっています。春闘は独自要求を勝ち取る闘争になっています。