自民党は自身の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)を通じて企業・団体から献金を集めています。献金しょた企業ををみていくと、財界を優遇する自民党とのとの癒着構図がくっきりとうかび上がってきなす。(三浦誠)

 

本紙は国政協の2022年分政治資金収支報告書を分析しました。国政協は同年の収入が約29億円ありました。このうち95・9%が企業・団体からの献金です。

 

1000万円以上の大口献金をしている大企業と業界団体(政治団体を除く)は62あり、合計約2400万円にのぼっています。

 

役員企業ずらり

 

 

 

献金企業に上位10社には、財界総本山である経団連の役員企業がずらりと並びます。

 

企業単体で最も多いのが住友化学とトヨタ自動車で5000万年で5000万円です。住友化学の十倉雅和会長は゛財界総理゛と称される経団連会長です。

 

ただ過去に2人の会長を出したトヨタは別格です。トヨタグループの日野自動車、ダイハツ工業、デンソーなどを含めると1億1000万円を超えます。

 

経済産業省は今年6月にトヨタが国内で計画する電気自動車(EV)向けの電池開発や生産計画に約1200億円の補助金を支給すると発表。ほかにもさまざまな優遇税制で巨額の減税という恩恵を受けています。国の中小企業対策費(23年度)は1704億円あり、トヨタへの優遇ぶりがよく分かります。

 

軍需産業も多額の献金をしています。防衛省が公表した系約実績上位20社のうち7社が大口献金をしていました。

 

契約額1位(3652億円)の三菱重工は3500万円を献金。同社は11月23日の「防衛事業説明会」で岸田文雄政権が5年間43兆円に増額すると決めたもとで、「事業規模は約2倍以上になる」と公表。従来年間5000億円程度だった売り上げが1兆円以上になるとの見通しを示しています。

 

原発事業「拡大」

 

三菱重工は原発でもトップ企業です。ここでも岸田政権が「グリーントランスフォーメーション」(GX)」と称して進める原発推進計画の後押しを受けています。原発分野では22年度に2844億円の売り上げがあります。6月の「原子力事業説明会」では、17年から原発の事業規模が「拡大傾向」としており、今年度は「さらなる上積みを目指す」としています。

 

同じく原発事業をもつ日立製作所は3500万円を献金しています。原発部門の売り上げが2170億円で、24年度目標は2000億円と増える計画です。商社も軍需産業部門を持ち、防衛省契約実績で12位です。

 

財界総本山の経団連は、自民党の政治献金団体「国民政治協会」(国政協)への企業・団体献金を事実上゛あっせん゛してきました。

 

その手法が、「政策評価」と称する各党への「通知表」です。経団連は通知表を参考にして会員各社が献金をするよう促しています。

 

互助関係を継続

 

2022年10月に評価した項目をみると、原発を推進する「グリーントランスフォーメーション(GⅩ)の加速」やマイナンバー制度を含む「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」などが並んでいます。

 

経団連はこれらの項目をについて自民党が取り組んでおり、「高く評価できる」としています。「産経」(11月25日付))も国政協への財界献金について、「自民と財界 互助関係継続」と称しています。

 

DXでみると、マイナンバー関係事業で多額の利益を上げてきた日本電気と富士通はいずれも、22年に国政協へ1800万円を献金しています。

 

特に経団連会長を出した企業は゛規範゛を示す傾向にあります。現職の経団連会長を出す企業は通例として5000万円を献金しています。ところが会長を降りると献金額を減らす傾向にあります。

 

日立製作所は中西宏明会長(故人)が経団連会長だった一昨年は5000万円。会長を降りていた昨年は3500万円です。東レも榊原定征氏が経団連会長だったときは5000万円を出し、退任後の22年は3000万円にしています。

 

銀行献金が復活

 

財界側はほかにも献金を増やす゛努力゛ををしてきました。銀行業界からの献金もそのひとつです。

 

銀行業界は、不良債権処理のために国民の税金である公的資金が投入されたことを受け、1998年から献金を自粛してきました。ところが2015年から、みずほ、三井住友、三菱UFJのメガバンク3行が献金を再開。22年には3行とも足並みをそろえて2000万円を献金しています。メガバンクの献金再開は経団連の献金あっせんに呼応したものでした。

 

財界は自民党が政権党だからこそ献金をしています。その分かりやすい実例があります。自民党が政権から転落していた時は財界献金が大幅に減少していました。

 

22年に国政協へ1000万円超の献金をした62の記号・業界団体で比較すると、11年の献金は合計約6億790

 

 

0万円。野党時代は与党であるときの比べ半分以下にとどまっていました。

 

大手ゼネコン5社(大林、鹿島、清水、大成、竹中工務店)は11年の献金がいずれも814万円でした。それが22年には各社1800万円となっています。

 

自民党は政権復帰後、「国土強靭(きょうじん)化」として公表事業を増やしてきました。それに歩調を合わす形で大手ゼネコンの献金も大幅に増えた形です。

 

大口献金の一方で、国策に影響を与え巨額の補助金や政府発注事業を得るー与党と財界の癒着構図そのものです。

 

 

2023年12月4日付「しんぶん赤旗」より

 

 

まさに大記号と自民党とは「ズブズブの関係そのものです。金融資本と防衛省とが結びついたら非常に危険です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年10月に評価した