金沢大学人間社会学域地域創造学類地域プランニングコース「卒業生のメッセージ」
金沢大でお世話になった神谷先生から「卒業生のメッセージ」を依頼されました。
その後、コース代表の伊藤先生とやり取りさせていただきメッセージが完成しました。

「地域を変えたい・よくしたい」と思っている人にはオススメのコースです。
少なくともわたしが関わったことのある神谷先生と眞鍋先生は教育熱心です。
この2人がいるというだけでも、行く価値のあるコースだと思います。
その中でも叩き込まれた「フィールドワーカーであれ」はいまも生きています。
(2006年3月22日記事「卒業式と大学の思い出」をご参照ください。)

リンク先のメッセージを書いたときのメモを恥ずかしながらUPします。
こういうまとまりのないものを見せるというのも意外に役立つのかなぁと。
本文と照らし合わせて見てみると面白いかもしれません。

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<基本方針>
・高校生やその親・コース配属前学生はどういった進路に進めるかが最大の興味。
・進路に向け本コースのカリキュラムは、体系的に組まれている。
・「問題発見→要因分析→問題解決」には、多様な知見が求められる。

<キャッチフレーズ>
・「あなたが望むなら地域は変わる」
・「地元をよくしたい」
・「地域を愛し、地域を創造する」

<地域創造人材の必要性>
・地域にかかわる人材=どこでも必要(CSRや市民活動の高まり)
・面接「あなたの売りは何なのか?」→その売りを作るところ

<地域に関する卑近な例>
・高校時代に思っていたことは…
商店街=衰退の象徴? VS 大型ショッピングセンター=繁栄の象徴?
でも、よく考えてみると…
(1)持続可能な発展なのか
(2)土地利用に伴う社会基盤容量の低下は?
(3)社会基盤整備による公費の支出は?
(4)地域にとってお金は落ちる仕組みになっているのか?
(5)ほんとうにそこで買いたいと思う人がいるのか?
(6)まちの魅力は高まるのか? などが検討されてしかるべき。
まだまだいろいろな視点を挙げることができるが、これだけの観点からも、
商店街・大型ショッピングセンター双方に解決すべきことがある。

<地域を支えるための思考パターン>
1.どのように「地域」というパズルを埋めるかを考える必要がある
→パズルのピースは様々なものがある
【実施主体別】行政・民間企業・NPOなど
【テーマ別】コミュニティ・福祉・都市計画・水道・公共施設など
2.全体のパズルの中で自分の位置づけを把握し、適切な役割を果たす
3.「よき市民として行動する」=地域創造の知見を持つ人間の市民としての役割
  →市民活動(NPOなど)・地域活動(町内会など)に理論という息吹を吹き込む

<地域プランニングに必要なことと学生に求められる姿勢>
☆何が地域にとって必要か考え抜く力をつけること
 →地域をよくするためのプラン作成に必要
☆その実施体制までプランニングすること
 →実行するところまで計画しなければ、実施されない=地域は変わらない
☆自分に何ができるかを考え、それを一歩ずつ行うこと
 →地域に住まうものとして地域を変える一助となる
           ↓
総合的に実施できるようになるカリキュラム
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お久しぶりです。本当に書くネタがなくて困っています。
ネタを募集しますので、もし「わかおのこんなことが知りたい」とかあれば、
できるだけご希望にお応えしたいと考えています。コメント欄に書いてください。

さて、今回の本題は…後輩の話です。
東北大学公共政策大学院の後輩(4期生2名)が期待に応えてくれました。
コンサルタントになることを希望していた2名が見事その職種を射止めました。
まだ1名は内々定を受けるか決めかねているとのことですが、
とりあえず、そのチケットを得たという点でわたしとしては感無量です。
本当におめでとうございます!


「シンクタンクやコンサルはなかなか難しいし、なれないかもしれないよ」


と進路指導の際に指導教員の方々に言われた大学院1年生の春。
実はそれまで本院の進路実績として、シンクタンクやコンサルはありませんでした。
「絶対なって見返してやる」と心に決めてやってできた「けもの道」。

これで「けもの道」から「砂利道」くらいにはなったかもしれません。
昨年度は、コンサルタントになりたいという後輩が2名いて、
彼らには最大限支援することを誓い、実際にいろいろアドバイスもしました。
それが役に立ったかどうかはわかりませんが、結果はとにかく出ました。

これからが勝負なので、きっちり力を身につけて頑張ってほしいと思います。
今週初めにはわたしに激震が走り落ち込んでいたのですが、
今回の報告は本当にうれしかったです。

ちなみに、ひとりは弊社から内々定をもらったそうです(笑)
一緒に働けることを心待ちにして、長い研修を乗り切ろうと思います。

ずいぶん前の話ですが、写真にある「夕張応援豆腐」を買いました。
この夕張応援豆腐は名前のとおり、夕張市に対する寄付金が含まれています。
 名称        内容量  価格  寄付額
・福よせ夕張応援豆腐 500g 188円 5円
・夕張応援豆腐きぬ   300g 105円 3円

両方の商品とも、希望小売価格の3%弱が寄付金となっています。

この夕張応援豆腐の動きに呼応して、イトーヨーカドーは北海道地区店舗(13店舗)、
首都圏店舗(50店舗)の計63店舗で商品を扱い、支援する
ようです。
小売店にとっても社会貢献を打ち出せる「便利なツール」ということでしょうか。

これは、「コーズリレイテッドマーケティング」の一例です。
「コーズリレイテッドマーケティング」とは、
「特定の目的に関連づけたプロモーションを行う手法」を指します。
人々が自社の商品を購入した量などに応じて、
企業が環境保護活動やNPOに寄付を行うというもので、
消費者それぞれの問題意識に働きかけるマーケティング手法です。
最近では、ボルヴィックの「1L for 10L」キャンペーンなどがこの一例です。

実際、財政的に問題があるのは夕張だけではないと思いますが、
メディアで報道されたため、人々の頭の中に「夕張=財政難」があるんでしょう。
そういう意味で「コーズリレイテッドマーケティング」は、

1.ターゲットはすでに人々の頭の中にある(漠然とした)問題認識
2.そのターゲットは一定以上の数が求められる

つまり、人々の頭の中にない問題認識に対して訴えたとしても、
ほとんど購買の選択肢とはなりえないのだろうという印象です。
その意味で使えるのは限定的な問題に対してなのかなぁ、と
(もちろんボルヴィックのようにCMをガンガン流せればまた別ですが…)。

以前、地域通貨を調べていたときに作った資料を以下に記しておきます。
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「地域経済活性化のツールにはどのようなものがあるのか」

 地域の資金循環が乏しいという問題に対して、地域の資金循環を活発にする取り組みは、地域通貨という手法が用いられる以前より各地で行われてきた。それを「コミュニティファイナンス」と呼ぶ。
 コミュニティファイナンスは、大きく分けて以下の3つの手法がある((1)、(3)は諸外国で行われている手法)。

(1)法律を利用する手法
・地域再投資法(CRA: Community Reinvestment Act)
 監督官庁に対し、金融機関が所在をおく地域においてどのような金融行動(貸出金の多寡や提供サービスの水準など)をとっているのか、検査・監督し、結果の公表を義務づけるもの。金融機関の行動は格付けされ、その結果は金融機関が店舗を新設したり合併したりする場合の認可基準の参考にされる。
・アフォーダブル住宅向けのタックス・クレジット制度(Low-Income Housing Tax Credit)
 低所得者層向けの住宅を建設したディベロッパーに対し、建設費用の約9%の税額控除権を法律で認めるもの。権利は投資家などへの地位の移転が自由。これにより、事業の低収益を補い、低所得者層向けの住宅が建設されることになる。

(2)人々のもつ寄付・コミットメント意識を利用する手法
・社会的責任投資(SRI: Socially Responsible Investment)
 SRI型金融商品は、投資先事業の選択尺度に、財務格付けのみならず環境問題等CSRへの取り組み状況を加味したCSR格付けも加味し判断する。CSRを考慮したい投資家は資金の流れを振り替えることができる。
・コーズ・リレイテッド・マーケティング(CRM: Cause Related Marketing)
 特定の目的に関連づけたプロモーションを行う手法である。人々が自社の商品を購入した量などに応じて、企業が環境保護活動やNPOに寄付を行うというもの。日本で最近多くなっている風力発電ファンドなどの取り組みはこの位置づけ。

(3)金融スキーム自体を工夫する手法
・マイクロファイナンス(グラミン銀行)
 お金を借りることができない貧困女性層5人1組のグループに組成し、そのグループに対して生活資金を融資するもの。グループ内で互いに連帯保証を行うピアプレッシャーを掛け合い、貸倒率を低く抑える。また別にNPOを設立し、テクニカルアシスタンスを行い、返済可能性を高める。
・CDFI(Community Development Finance Institutions)
 地域の小さな企業や、コミュニティの再生に貢献するような事業にのみ特化し低利で融資を行う金融機関。銀行の趣旨に賛同した人が低利で金融機関に預金をしているため、あまり儲からない事業への融資が可能。

参照:斎藤成人「地域通貨の意義とコミュニティファイナンスへの応用可能性」『農業と経済』2003年5月

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