今日、電車に乗ってふと前の席を見ると、まあ、かわいいい、いや、きれいな顔したメンズがすわっているじゃない。細面で、やさしい涼やかな目元、すっきりした鼻筋、軽やかに風になびく髪。
 うーーん、なかなかわたし好み!
 朝から、ええもん、見ましたなあ!

あんまりじっと見てるのも変なので、ちょっと目線をそらしながら、彼は、いくつぐらいかな?何をしてるんだろう?学生かな?ラフなスーツ姿の彼について、想像は膨らんでいく。ちょっと華奢だけど、タレントの誰かに似てるなあ。彼女いるのかなあ?こんなのに限って、ぶさいくな彼女だったりするんだよなあ……

 そして、
 目線を彼に戻したわたしの目に映ったものは? 

鼻の穴に指を突っ込んだ彼だった。そう、鼻くそほじり。それは、左の穴、右の穴と続き、また左の穴へと何往復かした。その鼻に突っ込まれた指は、指先コシコシで、きれいにされ、鼻くそはパラパラとそこに撒かれたのです。(別に鼻くそが見えたわけではないが)そして、最後に、彼は、その指先を電車のシートで、さりげなく、いや、なんの不自然さも無く、拭いたのだ。

 おいおい!なにすんねん!君! 

 そして、彼は、何事も無かったように、その手で、風になびく茶色い髪をかき上げ、整えたのだ。

 年いくつでもええ、学生でも社会人でもええ、彼女がぶさいくでもきれいでもええ、

けど、常識、マナー、守ろうな!!!