悲哀の廃集落・永谷集落 | ダメ人間会2代目会長 u-gの無駄遣い活動報告

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ダメ人間会2代目会長を務める男の日々を綴るブログである。
【ダメ人間会会則】
①基本的に女性とは縁遠い
②基本的に無駄遣いが多い
③基本的にゴルフが下手
要するに ダメ なんですな…

本日は日曜の  について記載したい。


尚、本日の記事については 酷道 ではなく、


悲哀の廃集落への突入記事であるからして、


最近恒例のシリアスタッチでの更新とさせて頂きたい。



今回は深夜の北陸自動車道を敦賀ICまで北上し、


そこから90キロあまりを西に進んだ所にある廃集落である。


まずは敦賀市から小浜市に進み、そこから山間部に入った名田庄村に向かう。


この界隈は敦賀原発に近いエリアであり、


役場前には放射線量を随時計測する機械がある。


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5.5が高いのか低いのかは分からない…



この村の役場から更に山間部に10キロ少々進んだ所が今回の目的地である。



ここ小浜市や敦賀市の界隈では、


原子力発電所がある様に関西電力の影響が非常に強い地域である。


その昔関西電力は、原発で発電した夜間電力を利用して、


モーターの動力で下部貯留池の水を上流に設けたダムに汲み上げ、


電力需要が増加する昼間に放水する事でタービンを回す寸法での発電を計画する。


この貯留池の候補地として選ばれたのが、出合・挙原・永谷の3集落であり、


このダム事業の保障問題で集落は賛成派と反対派の真っ二つに割れてしまう。


最後までダム反対派が集落に残った永谷集落も、


1985年頃には最後の住民が地を離れる事となり、


やがて廃村と化してしまった。


今回はこの永谷集落へ向かった。



先ずは名田庄村役場から川を渡り、


福井険道35号線を南下して行く。


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居住区を抜けると道は急に酷くなる


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本格的に 廃 の様相となる…



完全に人の気配が消えて落石や倒木が激しい道を延々侵入して行く。


進む毎に酷くなる状況にTDK氏も不安の色が隠せないが、


後退もままならぬ道故に更に侵入して行った。


万が一侵入不可能な状況になったならば、


転回するスペースなどある訳はないが、


その際はTDK氏に降りて貰って誘導させるだけであるので私めは安心であった。



この状況を30分以上は進んだだろうか?


鬱蒼とした森から突如眼前が開けた。


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眼前に広がる永谷集落



先ずは集落の最奥まで進み、奥から手前にかけて探索する事にしたのだが、


通過しただけで直ぐに廃集落だと分かった。


とあるサイトでも拝見したが、本当に鳥肌が立つ光景だった。



最奥から最初に目に入るのがこの廃墟。


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崩壊が激しく全壊間近であろう



この廃墟隣には生活の香りが残っている


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子供の遊具


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かまどが奥にひっそりと埋もれていた



その傍らには立派な廃墟が並んでいる


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今は懐かしい木製の電柱


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豪雪地帯独特の屋根



ここ永谷集落では最初の家屋以外は殆ど原型を保ったままの廃墟が数件存在するが、


この廃墟には息を呑んだ。


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神社がそのまま残っていた



鳥居が無かったタメに今一自身がなかったが、


TDK氏の指摘により狛犬を発見し、


この建物が神社であった事が判明した。


苔生した階段や灯篭、石積みの上に社が構えている直ぐ後ろには、


自然の驚異に耐えられなかった土砂や倒壊樹木が迫っている。


つまりこの神社は 自然に飲まれかけている最中 なのだ。


佇まいの厳粛さと自然への脅威、廃れ行く悲しさが混沌とした映像であり、


何とも言い様がない複雑な感情に苛まれてしまった。


ちなみにこの隣には寺があったのだが、


事前情報で様々な祭具や位牌など、


何となく念が深そうな異物が残っている事を確認していたので、


お邪魔にならぬ様近寄らずにいた。




ほぼ全ての廃墟を見学したのだが、


最後にどうしても見学しておきたい廃墟があった。


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川の向こうに佇む見事な日本家屋



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横から見ても美しい佇まいだ



この廃墟に近付くにはどうしても川を渡らねばならないが、


家の前の橋は既に崩壊に近い状態であり、


風化した丸太のみが残されている。


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とてもじゃないが人の重さには耐えられない



TDK氏と共に  ルートを探索し、


他の家の川原から斜面の木を利用する事を決断した。


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苔が生してとても滑り易い



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この川べりを歩いて到達した



結構な苦労を要してまで辿り着きたかった訳は、


この廃墟の玄関先に大きく掲げられていた。


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『部落を割る関電・電発に絶対反対 永谷部落』



色々な廃墟関連のサイト上でも散々見てきた掲示物だが、


どうしてもこの看板を直接見てみたかった。


直接見れば何かを感じ取られる様な気がしたからだ。





この廃集落の全ては、この看板に如実に表われている。


結局この関電のダム計画は、


上流のダム施設候補地に群がる自然を大規模に破壊する物として、


京都大学と自治体の新しい知事によって猛烈な反対運動が起こり、


計画そのものが撤回されている。


つまり、これらの集落は廃村となる必要はなかった訳なのだ。



計画に賛成して充分なダム補償を受けて離村する人と、


あくまで故郷に拘り反対のまま居住を続けた人の対立を生み、


廃村を余儀なくされながら計画自体は白紙に戻る…



計画に賛成しようが反対しようが、


その判断に対する是非について、部外者である我々には論じる資格はない。


しかしながら、ダム計画が廃村の契機となった事は間違い無いであろう。


色々な面で経済効果が高い公共事業のタメならば、


僅か20戸の世帯の都合など簡単に軽視されてしまう。


少数意見など無視してでもどうしても実施したい性格が強い事は、


特に公共事業ならば往々にしてある事である。


そうでなければ、飛躍的に発電効率が高い原発が既にありながら


原発の電力で揚水発電をすると言う説明がつかない。


そのためには潤沢な保証金と便利な生活を建前に、


大切な人々の 故郷 をも沈めてしまうのだろうか…



『部落を割る関電・電発』


この言葉が全てを表していると思うのは、果たして私めだけであろうか?




南から昇る朝日が山頂を照らし出し、


この場所の山深さをあらためて知った。


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この村には今は 日 があたらない…



非日常でありながらも確実に起こった事実なのだ。


複雑な思いを胸にし、次なる目的地に向かう事とした。


『お邪魔しました』 と集落に一礼し、この村を後にした。


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さぁ 慎重に帰ろう



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またいつかの再訪を誓ったが、果たして自然はそれを許してくれるだろうか…