これは、王子がまだ3,4歳頃のお話。


おかんは家で仕事をしていた。

おかんは王子はテレビを見ているものだと思っていた。


えらく静かになったので、様子を見に行った。

テレビの前に王子の姿はなかった。


おかしいと思い、家の中を探した。

どこにも見当たらなかった。


彼はブランコが好きなので、たまに勝手に庭に出ている時があった。

今回もそうなのかと思い、見渡すとそこには王子の姿はなかった。


「げーーっ!」


あわてて玄関から表に出る。


ご近所の庭を覗きながら、家の周辺を探した。

だが、どこにもいない。


家の前の道をちょっと行くと、車の往来の激しい大通り。


「ひかれたら死ぬーーっ」


と思ってそっちまで行ったが、姿かたちもない。

キョロキョロしていると、車で通りかかった人が、窓を開ける。


「小さな男の子を捜してるの?」


聞くと、周辺で年配の人と立っていたと言う。


見たと言う方へ走った。


すると、王子はおじさんと一緒に、どこから来たのか家を探していた様子。

一安心したが、おじさんはどこの子か分からなかったし、王子は名前を言えなかったので、おまわりさんを呼んだという事だった。


しばらくたっておまわりさんが家に訪ねて来た。

事情を説明すると、納得してもらえたが、自閉症児なので、もしまたいなくなったら速攻連絡するように言われた。


2度とそんな事があるか!

と思ったのも束の間、その2ヵ月後、またおまわりさんの訪問を受ける。同じ人じゃなくてヨカッタw


しかし、その時、王子の手には、パンが袋ごと握り締められていた。


王子はどうやらパンが食べたかったらしい…