明日はついに1学期最後の終業式

私はベッドの上で寝転がって考えていた。

見慣れた天井、見慣れた部屋、今日は外で雨が降っているみたい、時折、ざざざっと壁に雨がたたきつけるような音がしている。


舞子との関係はとりあえず終った。

「ふぅ・・・。」

無意識にため息がでる、でも、重いため息じゃない、ひと段落ついたという乾いたため息。

あれ以来、舞子は私と会話どころか目を合わせようともしない、合わせないのではなくて、合わせるのが辛いのかもしれない、不自然なほどに私を避けるようにしているのを見ていると、舞子は本当に私を愛していてくれたんだと再認識させられる。

もし、舞子が私を所有物のように見ていたのなら、絶対に別れたくないというだろうし、私への憎しみや軽蔑の言葉の一つもあってもいいかもしれないのに、舞子は私の思いを察し身を引いてくれた。

最初はわからなかったけれど、私の幸せを思ってくれたんだってあとになって気づいた、最後の最後まで私は舞子に見守られてたんだな・・・。

これからは、見守ってくれるような人はいない、いや、私が見守りたい人ができたんだ。

舞子と付き合って、そして明穂ちゃんと出会って、私は二つのことに気づかされた、愛してくれているからといって、自分の気持ちを置き去りにしてその愛に身を浸すのは相手にとっての裏切りだってこと。

そして、本当に好きな相手が現れたとき、人はその相手に極端に能動的になって、なにかしてあげたい、好きでいたい、愛したいという気持ちになるということ。

もっと早く、人を愛すってことに気づいてればよかった・・・・。

今まで付き合った男の人、女の人、すべての人にちょっと申し訳ない気持ちだった。

でも、これから私は新しい人生がはじまるの、人をちゃんと愛すことのできる、そして正しく愛される人として生きるの。


そういえば、明日学校は午前中だけだから、午後は空いてるのよねー。

さっそく明穂ちゃんをお昼ごはんでも誘ってみようかな。

他の人に予定入れられちゃう前につばつけとこ!!善は急げよ!

明穂ちゃんへメールをすると、舞子は大丈夫かと念を押された。

事細かに伝えることはさすがにできないけれど、舞子との関係を終らせたという旨を返信した。

明穂ちゃんから、それならいいですよという返事が来た。

思わず顔がにやけてしまう、でもしょうがないよねー、だって好きな相手と一緒にいられると思うことが、こんなに楽しくてうれしいものだったなんて、今まで感じたことないんだもん。

今後どうなるかなんてわからないけど、今は明穂ちゃんとのこの関係を楽しむのー!

えへへ・・・。


はぁ・・・・。なんで校長先生の話ってこんなに長いのよ~。

夏休みは気をつけて過ごしましょう解散!でいいとおもうんだけど?もう2、3人倒れてんじゃないの?

つまらない学校の終業式、いちいちこんな式だなんて、仰々しくする必要ないとおもうんだけどさ~。

心の中で不満爆発中な私、だって、今日はこの後デートなんですものー♪

早くこんなつまんない行事終らせて午後にならないかなー。しかもここから明穂ちゃんが見れればいいよ?人垣でぜんぜんみれないんだもん、明穂ちゃん小さいから、よっぽど近くじゃないと見れそうにないけど。


「では、2学期にまた元気に会いましょう。」

先生がよくある挨拶をして、1学期の授業がすべて終った。

やっと、やっと、おわった・・・。

長かった、これほど長い終業式を私はいまだかつて経験したことないよ、もー明穂ちゃんのせいで、全部がスローモーションだよー。早く会いたいよー。

明穂ちゃんとメールで待ち合わせの約束をする。場所は、人の出入りが少ない西側の門。飲食店の多い方面であるのと同時に、舞子に顔を合わせないようにという、私の配慮?

別に、もう終ってるんだから、明穂ちゃんと歩いてるところ舞子に見られたところで問題はないんだけど。

さすがに・・・今はまだショッキングかなーっていうね、そういう、まぁ心遣い・・・・?

私はいそいそと西門へと向かう、歩いているというか、小走りの状態に近かった。

案の定、予定より早い時間についてしまって、明穂ちゃんを待つことに。

・・・・。

周りをきょろきょろ見渡したり、携帯見たり、なんとも落ち着かない、校舎を見たり、周りを確認して、無意識に明穂ちゃんの姿を探していた。

あ、校庭をちょこちょこと走る姿、明穂ちゃんだ、私の姿をみてさらに速度を上げた。

「すみません、遅くなっちゃって。」

息を切らして頭をさげる明穂ちゃん。

もう・・・何をしてても可愛く見えるから、私もうだめかも・・。

クールなカンジで売ってるありす様も、明穂ちゃんの前では、正常な判断ができないわ・・・。

「あ、あははぜんぜん遅くないよ、予定どおりだよ、私が早く来すぎちゃっただけだよ。ほら。」

そういってわたしは携帯の時間をみせた、明穂ちゃんは時間に遅れてなんていない。

「明穂ちゃんに早く会いたくて、わたしが早く来すぎちゃったんだよ。」

そういって申し訳なさそうにしている、明穂ちゃんを見つめてやさしく微笑む。明穂ちゃんは、顔を背けて少しはずかしそうに照れている。

はぁ、可愛い・・・。

ご飯食べるだけってのも味気ないので、ショッピングモールに行って買い物もしようという話になった。

近くのバス停からバスに乗り込む、歩いていけない距離じゃないけれど、なにせ真夏の昼なので、暑くて歩く気にもならなかった。

明穂ちゃんと隣同士で座る、腕が触れ合うだけで、ちょっとドキっとしてしまう、わたしだけかな、明穂ちゃんは気にせずに外を眺めていた。

わたしはそっと明穂ちゃんの手を握った。一瞬驚いて、手がぴくっと動いた、明穂ちゃんはわたしのほうをみて照れくさそうにしている、いい?という声にならない声で聞くと、笑顔で小さくうなづいた。

自分の手の中にある小さな手を大切に大切に握った。


バスの中の短いひと時だったけれど、わたしは人生で感じたことのない満ち足りた気分に浸ることができた。

本当に好きな人が隣にいる。

一緒にいるだけなのに、たったそれだけなのに・・・。なんて幸せなんだろう・・・・。