堂山物語 第126話
その日は、一棟まるごとのマンヘルに行くのとパチスロ南国育ちを打ちに行く事が僕の寂しい休日ミッションだった。
問題は、先にどっちに行くかだったが、南国育ちは玉砕覚悟でガッツリ打ち倒すつもりだったのでマンヘルを先にとっとと済ませて南国育ちだ!と意気込んでいた。
その日は、同じ会社のケン兄の従兄弟Kのオススメの嬢に入ろうと黒門市場の近くを歩きながら予約しようとケータイを見ながら歩いていた時
おらーぁ!待てコラぁー!
僕の後方から、女の人の怒号が何故が聞こえてきた。
僕は、なんだろ?と後を振り向くと
今度は、オッさんがコッチに向かって走って来てる?
えっこのオッさん、あんな声なの?
って思ってたら、その後ろの方から叫びながら、女の人が走ってきてる?
ちょっと、捕まえてー、そいつー!
よく見るとオッさんがトートバックを持ってコッチに向かって来てる
ここらへんで、僕も事態が飲み込めて来て
多分、こうだ
女が歩いていました。
オッさんが、その女のトートバックをひったくりました。
で、オッさんは女に追いかけられていました。
捕まえてー!
僕は、持ち前の正義感から捕まえてやろうと思ったけど、生まれながらのヘタレ根性からオッさんがめっちゃ強かったら嫌だなーて、迷っているうちに
もうオッさんが僕を抜かそうとしていた。
もうイイヤと思いつつも、どーしよと優柔不断な僕は、
おらーぁ!と
オッさんの足の前に僕の足を引っ掛けてみたら
オッさんは、一回転するかの勢いでダイナミックに転けて
ひったくったと思われるトートバックも放り出して、カバンの中身もガッサーと散らばった。
オッさんは、前方で転がりながらも、そのままトートバックをほったらかして逃げて行った。
僕は、これでカバンがパクられなかったから良いんじゃねっと思っていたら
そのひったくっられた女が息を切らしながらやってきて
ちょっと!何してるんですか!
と僕にキレて来た。
僕は、何処の国の映画でも、このパターンなら御礼を言われるモンだと思っていたので、呆気に取られてしまう。
ちょっと、ぼーっとしてないで手伝って下さいよ!
その女は、今度は僕に散らばったカバンの中身の回収を手伝うように命令してきた。
いや!アンタ、その前に御礼が先なんちゃうの?
と言い返してみると、
なにも、こんなカバンも傷いってるし、中身もぐちゃぐちゃになるようになんか、頼んでませんから!犯人も逃げてるし!
そんなもん、丸ごとカバン無くなるよりマシでしょ!
僕は、一応言い返しながらもカバンの中身回収を手伝ったが
その女は結局、最後まで、御礼の一言もなく去って行った。
僕は、ムナクソ悪いなぁと思いつつ、さっさとマンヘルで憂さ晴らししようとケータイで、目当ての子を予約出来るか電話してみるたら、
すいませんーその子は、さっき予約で一杯になっちゃいましたー
クソ!あのカバン事件が無ければ!
こんなケチついたマンヘルに行ってられるか!と難波のマルハンに南国育ちを打ちに向かった。
その日は蝶々飛びまくりの爆釣だったので、メシも食わず夜の9時くらいまで打ち続け確か6.7万勝ったような気がする。
お昼のムナクソ悪い、ひったくり事件とマンヘル予約埋まる事件を吹き飛ばす快勝で
迎えのマクドでダブルチーズバーガーセットで腹ごしらえしてると
あっ!
隣に昼間のカバンひったくっられた事件の女が同じくダブルチーズバーガーセットを持って座って来た。
1日に2回会った、これが、いっことの出会いだった。