堂山物語 第108話
いわゆる無職生活が始まり、今まで以上にも増して規則正しくパチンコ屋に朝から並ぶ生活が始まった。
モンスターハウスのピンプロとして、対するは、パチ屋とその店で喰ってるかもしれないプロ達。
当然、店とモメるよりもプロとモメる方が騒ぎも大きくなる。
一度だけ、京橋の店でプロとモメて、あまりにもハラたったので2人のウチ1人を髪の毛掴んでモンスターのガラスに顔面、ガッシャーンしてしまい、猛ダッシュで逃げた事もある。
かと、思えば、とある大手のモンスターでは、千円で確変引いて、さあこれからと思ったら島の中が全員プロだったのでヒラで打ったヘタレな時もある。
こんなんで、良いのか?
元堂山ウリセンボーイの中華料理人崩れの慣れ果てだった。
僕は、今まで出会って来た、憧れてきた大人達に全然近づけてない。
小物は小物らしく、テキトーな会社に入ってテキトーに生きて行くのが、お似合いだ。
僕は、そう思って、モンスタープロとして頻繁に攻めていた大手のパチンコ店に応募してみると、アッサリ採用された。
ちょうど大卒の人が同年代で新卒として入社している年だったので、こちらは、堂山大学で培ってきた経験を生かして、大卒の甘ちゃん達に負けてたまるか!とパチ屋デビューを果たす。
その大手も今では、考えられないメンバーが配属店舗で待ち構えていた。
パチンコ屋の兵隊の仕事は、ハッキリ言って簡単だった。最初は、何処の会社でもアルバイトが新入社員に教えたりするが、こっちは、毎日パチンコ屋に通ってて、店員の動きを監視しながら凌いで来たんだ。
はっきり言って、3日もすれば、一本任せて貰えるようになっていた。
井上店長 「堂山君、事務所!」
インカムで店長に呼び出されるのは、まあまあ重要な用事がある時。
ダッシュで事務所へ
コンコン、失礼しまーす
事務所には、店長とマネージャーが2人いて重苦しい空気を漂わせていた。
柳川マネ 「プシュ!」
高島マネ 「プシュ!」
井上店長 「プシューー!」
何の事は無い。この上司3人はホールで休憩回ししている僕をわざわざジュースを誰が奢るかの勝負に僕も参加させる為に呼び付けとのだった!
堂山 「プシューー!」
この店では、プシューと呼ばれる勝負は
いっせいのーで 3!
と親指を全員が立てるか立てないかで数字が合えば片手抜け、両手抜けたら勝ちで最後に残ったヤツが全奢りという決まりだ。
ちなみにプシューで参加者を募り人指し指の間で参加を表明する時に
プシューと言ってるので
いっせいのーで の事も プシューと言うように、なった。
この時は店長が負けて、まあ、誰が負けても買いに行くのは、僕だった。
堂山 「堂山、統計行ってきます」
井上店長 「トイレに落書きして来いよ!」
と普通に命令される変な店舗で僕のパチ屋人生はスタートを切った