抱きしめてしまいそうさ そんな風に君が笑うから


「かわいくねぇよな。越前。先輩を先輩だと思ってねぇぜ、絶対。」

荒井がベンチに腰掛けながら、近くにいる仲間にボヤく。周りは同意するように笑った。

「まぁ、テニス上手いのは事実だしな。」

そう言って桃城は一応のフォローを入れた。そこに本人、越前リョーマが現れた。

「・・・お疲れッス。」

帽子を取りながらそう言うと、越前は着替えを始めた。荒井達はすぐに部室を後にし、桃城も用があるらしく一人で帰っていった。

「・・・越前。」

一人残った俺は、越前に声を掛けた。越前は着替えながら顔を俺に向けた。

「何スか?」

「・・・部の者と仲良くな。」

「また、何か言われてたんスか?俺。・・・ま、気にしないけどね。」

「・・・少しはみんなとなじむ努力をしろ。」

「あんたに言われるとは・・・。ある意味ショックだね。」

「・・・怒らせるとわかっていてどうしてあんな発言をする?」

「思ったことを言っただけ。」

怒らせるとわかっていても口にする。


それでいて君は特別に生き方を変えたりはしない

後悔や反省の日々はだからこそ君らしくもある


「まぁ・・・言ってもわかんない人には言わないけどね。」

「自分でわかっていても人に指摘されると腹が立つということもあるだろう。言葉には気を付けろ。それでなくともお前は反感を買いやすいからな。」

「へーい。気をつけまーす。」

越前は軽く返事をして、着替えを終えた。

「明日から気をつけるッス。」


「明日になればきっと変われるから」

不安なんかない もう大丈夫さ


「でも、いざとなったら部長助けに来てくれるんでしょ。」

そう言って不意をついて越前は笑う。

「俺のために、必死こいて。」


抱きしめてしまいそうさ

そんな風に君が笑うから

ひとりにはしないさ 絶対に君を離したくはない


「・・・さぁ・・・な。いざとなったら見捨てるかも知れんぞ。」

「いや、あんたは俺を見捨てないね。・・・自分の肩のことお構いなしに俺に試合申し込んでくるくらいなんだから、相当のお人好しだよ。」

そう言ってダメ押しと言わんばかりに笑った。

「・・・そういえばあの猫、元気か。」

「カルピン?まぁ、元気だよ。どうしたの急に。」

「・・・お前が初めて泣いたときのこと、思い出した。あの猫がいないっていうだけであんなに弱くなるとはな。」

「・・・忘れてよ。早く。」

「いや、一生忘れられん。」


抱きしめてしまいそうさ

そんな風に涙見せるから

何が起きたって 絶対に君を守ってあげるよ


「さぁ・・・帰るが、一緒に帰るか?」

「当たり前じゃん。あんた待ってたんだから。」

「・・・ならば帰るぞ。」

「ういッス。」

二人一緒に部室を後にする。

・・・あぁ、


抱きしめてしまいそうさ