隠秘学に関する本は数多く読んできた。

どの本にももっともらしいことが書かれているが、

異なる著者で、内容がぴったり一致するものは無い。

見解の一致、統一は今のところ望めないものであるようだ。

 

オカルティズムがクオリアの世界なら当然の話かもしれない。

例えば赤色の印象を人に聞いてみたとして、

共通点はあれども、全てぴったり一致することは無いのと同じである。

本来ならば人の数だけ解釈があるということになる。

 

私は昔、シュタイナー人智学の本を特に多数読んでいたため、

当時は人智学こそが、数ある隠秘学的知識の中でも、最も優れたものの一つなのではないかと考えていたのだが、他の様々な本も読むようになってからは、数ある隠秘学的書籍の中の一つに過ぎない、と相対化出来るようになった。

 

どの本も著者の目を介した説明である。

そこには必然的に誤謬が含まれよう。

なので著者の解釈を読んで、その源泉まで遡るように自らが考えることが大事なのかもしれない。

「わたし」にとっての世界の真実は、いずれの本の中にも無いのだ。それは「あなた」にも言えることだ。

 

本を読むならいくつもの幅広いジャンルを読むことが大事だと思う。右から見た世界の本を読んだなら、左から見た世界の本も読んだ方が良いし、上から/下から、内側から/外側からの視点も得られたほうが良い。

多視点の思考をすることによって、より立体的に全体を捉えることが可能となるのだ。

 

それは自力のみでも辿り着けない、他力のみでも辿り着けない領域である。