こんにちは、総務部のサモエドです。

50代社員のモトキさんからの質問です。
若い頃、年金を未納してたんだけど、年金って満額もらえるの?

我が社の50代社員、モトキさんからの質問です。
話を詳しく聞いたところ、大学生のころは保険料を一切払っていない、
そして転職するときに2カ月ほど未納期間があったとのことです。

詳細は下の図の通りです。
20歳から22歳までの学生期間が未納、
就職してからは厚生年金に加入します。
その後、転職する際に2カ月間未納、その後はまた厚生年金に加入して現在に至ります。

国民年金の保険料に未納期間がある場合、
そのままにしておくと老齢基礎年金は満額もらえません。

今回のモトキさんからの質問に下記の順で回答していきます。

1 老齢基礎年金を満額にするには

2 満額相当に年金額を増やす方法

3 報酬比例部分の増え方 



1 老齢基礎年金を満額にするには

未納期間がある方の老齢基礎年金を満額にするには、2つの方法があります。

1 追納する(未納期間の保険料を支払うこと)。

2 60歳以降、国民年金の任意加入被保険者になり保険料を納付する。


追納には時効があり、モトキさんのように昔の未納はもう納めることができませんので、割愛します。

モトキさんの場合は、60歳以降に国民年金の任意加入被保険者になって保険料を2年2カ月納めると、老齢基礎年金が満額になります。



2024年現在、老齢基礎年金は国民年金の保険料を480月納めると、

満額で約80万円もらえます。


計算方法はいたってシンプルで、
80万円×保険料納付済み月数割る480月です。




モトキさんはこのまま60歳まで勤めると、厚生年金の加入期間が454月になります。
(20歳から60歳までの厚生年金の加入期間は、国民年金の第2号被保険者として保険料を納めた期間になります。)

この454月を計算式に当てはめると、モトキさんの老齢基礎年金の年金額が算出できます。
80万円×454月÷480月。

現在の見込額で、約756,000円になります。



モトキさんは60歳まで勤めても国民年金の加入期間が480月にならないため老齢基礎年金が満額になりません。

ですので、モトキさんは任意加入被保険者になって、60歳から65歳までの間の2年2か月間、保険料を納めると老齢基礎年金が満額になります。

(任意加入する場合には、厚生年金に加入していないことが条件になります)


厚生年金加入期間 と 任意加入被保険者期間 を足すと 480月になり、満額の老齢基礎年金がもらえることになります。


2 満額相当に年金額を増やす方法


老齢基礎年金の満額にこだわらないならば、他にも年金額を増やす方法があります。

単純に60歳以降も厚生年金に加入して働くことにより、年金額が増えます。


モトキさんのように国民年金の未納期間があっても、それをカバーできるお得な制度がありますので、説明していきます。


モトキさんの場合、22歳から厚生年金に加入して働き、
問題なく60歳まで勤めあげた場合、厚生年金の期間は454月になります。(転職期間の未納2カ月)

このように、厚生年金の加入期間が480月に満たない場合、60歳以降も老齢厚生年金に加入して働くと、老齢厚生年金に経過的加算(差額加算)がつきます。


イメージとしては下の図のような感じになります。


モトキさんは60歳以降、厚生年金に加入して働くと、
26カ月で老齢厚生年金に経過的加算部分が約41,600円つきます。

この金額は任意加入被保険者として26カ月、国民年金の保険料を納めた場合とほぼ同額になります。

もちろん、厚生年金の報酬比例部分も増えますので払う保険料に対して増える年金額が多いため、かなりお得です。

ただし、26カ月を超えてからの期間は、老齢厚生年金の報酬比例部分しか増えません。


モトキさんが60歳以降、厚生年金に加入して働いた場合、
月当たり、年金額は下記の表のように増えます。
(加給年金は割愛します。)


報酬比例部分が20万の給与で約1,000円/月
経過的加算が(26カ月間のみ)    、給与に関わらず約1,600円/月
合わせて2,600円/月 年金額が増えます。
    

モトキさんの60歳以降の保険料と年金額の関係は下の図のようになります。

国民年金任意加入の場合、保険料が約17,000円増える年金が月に約1,600円。

厚生年金加入(月収20万円)の時は、保険料が約18、300円。
増える老齢厚生年金は経過的加算が月に約1,600円、報酬比例部分が月に約1,000円増えます。
    
モトキさんの場合、62歳2カ月までは厚生年金に加入して働くと、
非常に効率よく年金額が増えます。

それ以降は報酬比例部分しか増えないため、物足りなく感じてしまいますが、
それを補うほどのコストパフォーマンスがあります。


3 報酬比例部分の増え方

最後に、月の給与から報酬比例部分の増える目安をご紹介します。

平均標準報酬    1カ月の増える年金額の目安
20万円    約1,000円
25万円    約1,250円
30万円    約1,500円
40万円    約2,000円
50万円    約2,500円

報酬比例部分だけ見ると、増える年金額と保険料はバランスが悪く感じます。
この部分だけですと、約18年で回収できる計算になります。

 

 

総務部のサモエドでした。