タローは秋田犬。
小学5年生の僕より、すぐ大きくなりました。
散歩は引きずられてしまうので、散歩にはなかなか連れて行けなくなりました。
裏山には大きな樫の木がありました。
家の近くにある柿の木と樫の木とを鉄線でつないで、
輪っかを通しチェーンにつないで、タローは自分でお散歩を出来るようになりました。
チェーンの長さを含めれば10メートルぐらいは走り回れたかな。
良く吠える犬でした。
当時、うちの回りは農家ばかりだったので、お隣さんから苦情はありませんでしたが、
マンションや新興住宅のたくさん建った今だったら、苦情の嵐でしょうね(^^;)
忠犬でした。
僕の投げたゴムボールを、一生懸命取って戻ってきて、
いい子、いい子されるのが、大好きな犬でした。
怖い顔をして、小さな僕がいくらいじめても決して逆らいません。
雪がたくさん降ったある日。
雪合戦をして、雪玉をぶつけられるだけのタロー。
今思えば、凄くかわいそうなタロー。
でも、子供って意外と残酷なところもあるんですよね(=゚ω゚)ノ
タローは、内心、確実に怒ってました。
だって、後で僕の作った雪だるまを、やけになって足でかき崩していましたから。
穴を掘るのが得意な犬でした。
おいしい物をあげると、よく自分の掘った穴に埋めに行っていました。
犬小屋の下とか、樫の木の根っこは穴だらけに。
中学校2年生の時、タローはフィラリアを患いました。
お腹に水がたまってしまって、パンパンに・・・
すぐ獣医さんに診てもらったので、僕は治って元気になるものとばかり思ってました。
でも、お腹に穴を空けて水を抜いてもらうこと、数度。
やさしそうな獣医さんは言いました。
「もう、安楽死させた方が、ワンちゃんが苦しまずに済むよ。」
「殺すなんか、ダメ!」と僕は怒りました。
日に日に弱っていくタロー。
ある日、お散歩に、近くの高台に連れて行きました。
低い土の崖があって、元気だった頃、よくタローをそこから下に突き落とそうとしました。
高い所が苦手で、怖がるタローが凄く可愛かったので・・・
その日、タローはやっと坂を登って、高台で、じっと僕に撫でられていました。
遠くを見て風に吹かれているタローを、僕は後ろから抱きしめました。
僕が中間試験の勉強をしている時、タローは危篤になりました。
僕はノートを涙でくしゃくしゃにしながら勉強をしていました。
ハムを一切れ食べた後、タローは死にました。
おばあちゃんが、一生懸命タローをさすっていました。
2週間ぐらいした頃、僕の住んでいる地域を、台風が直撃しました。
夜中にすさまじい風が吹き、何かドスンという大きな音を聞きました。
翌朝は、台風一過の晴天。
裏庭に出てみました。
鉄線をつないでいた樫の巨木が倒れ、犬小屋を押しつぶしているではありませんか。
水色のタローの家はめちゃくちゃにつぶされていました。
タローが樫の木の根っこに穴を掘ったせいでしょう。
なにか、胸が一杯になり、近くでじっと犬小屋を見ていました。
ふと、横たわっている樫の木にのってみると・・・
樫の木の根っこに、ピンクのゴムボールがのぞいていました。