三度の飯より釣りが好きな三平。稼いだ全てを釣りのために注ぎ込んでいる。と言っても衣食住にも使ってはいますが・・・。
まぁ、そんな訳ですからいつまでも独り者。当然彼女どころか女性経験も無い人生をおくっております。
きょうも今日とて海釣りと、中古で買った船外機付きボートでちょいとばかり沖へ向かう三平・・・。
「ここらなら大物がいそうだな」と大物用の仕掛けをセットすると「おいやっ!」と投げ込みます。
しばらくすると、竿にあたりの兆候が。
「おおっと、こりゃ大物だっ!」と電動リールでグイグイと引き寄せると尺上どころか2メートルはありそうな魚影が。
「こりゃ引き上げるにも難儀だな」と言った途端、大物自ら舟に飛び込んできた。
「うぇ!?えっ?えっ?これって・・・人魚・・・か?」
とんでもないモノを釣り上げた三平。しかし、人魚と言えば美女と相場が決まっております。どんな美女なのかそっと覗いてみますと吃驚仰天くりびつてんぎょう!
深海から釣り上げたからなのか、目玉や胃袋が飛び出しておりました。
「ひやああああぁぁぁ!!!」と悲鳴と共に船から蹴落としますと人魚から卵らしきものがブリブリブリーと・・・。
「うわわわわぁ!」とその場から一目散に逃げようと船外機を掛けようとしますが、慌てているのでなかなか掛かりません。
そうこうしてる内に三平の背中から「どうしてくれるのよ!」の声が。
こんな沖で声を掛けてくるヤツなんていません。あの人魚なのは誰でも想像出来ます。
「どうしてくれるのよ!全部無性卵になっちゃったじゃない!責任とってヨ!」
「そうは言ってもオレにはどうにも・・・」と背を向けたまま答える三平。
「こっちを向きなさいよ!」と無理やり振り向かされた三平は、覚悟を決めておそる恐る顔を上げると、そこにいたのは絶世の美女。
「かお・・・顔直ったんだね」
「よくある事だからネ。それよりこの卵どうしてくれるのよ」
「醤油漬けにしてイクラに・・・って訳にはいかないよネ」
「もう・・・。だったら責任とって私と結婚しなさい。毎年人間の男を捜すのも面倒になってきたから」
「オレでよかったら!」と二つ返事で承諾する三平。
そのまま海底にある人魚の屋敷へ着きますと
「一年に一回だけ私が卵を産んだら、そこに放精するだけだから簡単でしょ。後は遊んでいて好いから・・・ネ」とニッコリ笑う人魚。
「へっ?・・・それって・・・」
まぁ、無事に結婚出来た三平ですが、まだ清らかな体でおります。