ご覧のスポンサー。 | ぢぇふのブログ

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( ̄▽ ̄;)←は、心の叫び。もしくは言い訳のときに現れます。
その辺を理解してお楽しみください。
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私の家の近くに小さな町工場があった。


かなり古い創業なのか、会社名は風雨にさらされて読む事も出来なかった。


何を製作しているのか見当もつかないが、機械の音よりもAMラジオの音が聞こえる事の方が多かった。こんな小さな町工場では、大量受注はこなせないとだろうと思っていた。

もっとも、今でも何を製作していたか分からないままだったが・・・。



ある日、AMラジオの代わりに二人の男の声が聞こえた。


「宣伝でもしないと、このままじゃダメだな」

「それは分かってる。でも宣伝に掛ける金が無い」

「金がないから宣伝が出来ない」

「宣伝出来ないから金が無い」

「手っ取り早く出来る方法はないかな」

「何かの便乗でも好いんだがなぁ・・・」

「あるぞ、あるぞ!」

「なんだよ、何だよ?早く教えろよ」

「お前さぁ、TVCMでご覧のスポンサーって言うのを聞いた事があるだろう」

「あるある」

「この工場を、ご覧のスポンサーと社名変更するんだ」

「あっ、だったら日本中に工場の名が知れ渡るな!」

「よ~し、ご覧のスポンサーの前途を祝してチューハイで乾杯だ」

「ご覧のスポンサーに乾杯!」

宣伝に掛ける金は無くても、焼酎を買う金はあるようだ。



一週間後、ご覧のスポンサーとペンキで殴り書きされた町工場は、某金融機関の管理物件になっていた。