仕事は楽しいかね?/デイル ドーテン
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出張の帰りに、大雪のため一昼夜空港のロビーに足止めされた「私」。


そこで出会ったある老人に、つい仕事で鬱積(うっせき)した感情をぶつけてしまう。


老人は実は、企業トップがアドバイスをほしがるほどの高名な実業家。


その含蓄ある言葉に「私」はしだいに仕事観を揺さぶられていく。


本書は、将来への希望もなく日々仕事に追われる主人公が、老人のアドバイスに自己変革のアイデアを見いだしていく物語である。


それは、唐突に繰り出される老人の言葉とそれを問いただす「私」の会話で展開していく。


たとえば老人は「目標を立てるな」という。


「私」は、目標がなければ進歩の度合いが測れず、軌道修正もできないと反論する。


しかし老人は、斬新なアイデアや商品がなぜ誕生したかを説き明かし、それらが目前の課題に集中した結果であることを指摘。


また、世の中は自分が目標を達成するまで待ってはくれないとも言う。


そして「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る」「明日は今日と違う自分になる、だよ」などのアドバイスをおくる。


試すこと、日々変化が必要であること、偶然を見落としていること…。



本書のこうしたメッセージは特別なものではないが、それを痛切に感じさせる語り口が独特である。


「多くの人は他人を凌駕する人材になろうとしているけど、それを他人と同じような人間になることで達成しようとしている」などは、自分を振り返らせるのに十分である。


物語仕立てのビジネス啓発書としては「短編」の部類に入る本書。


シンプルながら味わいのある1冊である。