この本です。
国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウントダウン (朝日新書)
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副題が『「3年以内の暴落」へのカウントダウン 』で朝日新書から2011年に出た本です。
そして、この本の「3年以内の暴落」の根拠がこれです。
昔、盛んに言われていた国の借金が家計の金融資産を超えたら破綻するーというアレです。
結果はどうだったでしょうか。一応、確認しておきましょう。
彼女がこだわっている国債及び借入金並びに政府保証債務現在高に地方債を加えたものでグラフを作ってみました。
全く交わる気配はありません。
当たり前ですね。
貯金好きの家計が貯金をして金融機関等を通して国の借金である国債を購入しているからです。
この構図は止まるどころかさらに強化されているようにも見えます。貯金好きの家計が貯金をやめて借金して消費するなんて世の中は破綻論者が想像するようには簡単にきません。おそらく永遠に交わることはないでしょう。
交わりそうになるということは、家計が貯金をやめて借金してでも消費しようということで、景気がよくなるということです。
こう書くと、短絡的な人は景気がよくなったら破綻するーと大騒ぎするかもしれません。
しかし、よく考えてください。景気がよくなったら消費が増えて税収も増えるのです。
そして、国債の大半は日銀が保有しています。日銀が保有している国債は利払いゼロなのです。(→国庫納付金で検索)
破綻など起こりようがありません。
民間銀行も景気がよくなれば有望な貸出先が沢山でてくるはず。国債の利ざやで儲けるなどというゲスな商売から足を洗えるわけで本望でしょう。
何が問題なのでしょうか???
・・・
ちなみに、この恥ずかしい予想本を書いた著者はムーディーズ・ジャパンの格付けアナリストです。
基本的なことで大外れする予想屋ムーディーズが信頼できないのは明らかですね。
彼女は内閣府の(デタラメな)試算を信じたと言い訳するかもしれませんが、言論は自己責任です。内閣府のデタラメ試算を見抜けなかった時点でアナリスト失格です。
当時、似たような論者が大量にいましたが、この人たちは反省したのでしょうか。
もうひとつ、この本の中に反論らしきことが書いてあるので触れておきます。
「内国債だから安全」は本当か
(略)
しかし、本当にそうでしょうか。この議論は、日本の金融機関、ひいては日本の国民が未来永劫せっせと日本国債を書い続けられることを前提としています。
(略)
この議論を推し進めていけば、「国債を返せなくなったら、預金封鎖をして国民の金融資産を召し上げてしまえばいい」ということにもなりかねません。また、増税によって国民の金融資産を召し上げようとしても、そんなにすべてをとりつくせるわけではありませんし、税率を引き上げ過ぎれば経済は疲弊し、成長によって生み出されるはずの新たなおカネも出てこなくなります。
極論で議論を矮小化するいつものパターンです。預金封鎖などしなくても、インフレ率(インフレ予想)を上げるだけで、経済は活性化します。増税ですべてを取り尽くさなくても、(消費ではなく)資産に1~2%だけ課税すればそれだけで経済は回ります。他にも、歳入庁をつくって徴税を一本化して取りっぱぐれているものをとるだけでも税収はかなり増えるでしょう。
解決方法はいくらでもあります。
政府(財務省・内閣府)の言いなりになるだけではなくもう少し頭を使いましょう。
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