世界最強のアメリカもひれ伏す大蔵省のご説明力と自民の交渉力 | rxtypeのブログ since 2012

rxtypeのブログ since 2012

日本経済の一番の問題はデフレ予想です。

マネー資本主義という本を読みました。
マネー資本主義: 暴走から崩壊への真相 (新潮文庫)/新潮社

¥562
Amazon.co.jp


全体的にはNHKが作ったものだけあって下らない内容の本ですが、一部興味深い点があったので紹介します。


--------引用ここから--------
 ファウバー財務省顧問は、急速にドル安円高が進んだ1995年春頃から日本の大蔵省から為替の協調介入などアメリカに協力を求める要請が相次いでいたと証言する。「とにかく円高を何とかしてくれという要望が大蔵省から頻繁に寄せられていた。しかし財務省の基本的な考え方は、為替相場は市場が決めるもので介入をしても効果は一時的だとして彼らの要請を断っていた」
 しかし、あるとき日本の要請を受けて市場介入すべきかどうかについてルービンから相談を受けたファウバーは、ルービンが介入を決断した理由を聞かされたという。「ルービンは私に淡々とした口調でこう言った。『私は日本政府と協調介入に踏み切ることで合意した。この決断に至るきっかけのひとつに日本からのある“脅し”があったんだ』と」
 ルービンが言う日本の“脅し”とは一体、何なのか?その真相を探るべくわれわれは当時の日本政府関係者や金融担当者への取材を進めた。(略)
 底なしの円高不況にあえぐ中、政府は緊急円高対策訪米団をワシントンに派遣することを決定、アメリカ政府との直接交渉という非常手段に訴えることになった。連立政権の各党代表で構成する訪米団の団長に任命されたのが武藤嘉文自民党総務会長(当時)だ。通産大臣や外務大臣など閣僚を歴任し、アメリカとの通商交渉に携わるなど物怖じしない交渉力に定評があった。5月1日から6日までの訪米中、武藤は、ゴア副大統領やグリーンスパンFRB議長など政府高官との面会を重ね、ドルの防衛、円高是正の必要性を訴え続けた。交渉のハイライトは為替政策を指揮する財務省との面談だった。財務省の会議室で武藤ら訪米団を出迎えたのはルービン財務長官とサマーズ財務次官だった。席上、これ以上円高ドル安の放置は容認できないとルービン財務長官に切り込んだ武藤は、ある切り札を持ち出したという。
 「アメリカがいつまでも(ドル安を)放任しているなら、おれは絶対にアメリカの国債なんか売っちゃうぞ。そう言ってやったんですよ。それが嫌なら、早く円安ドル高にして、基軸通貨の値打ちをきちんともう一回確立しろと」
 (略)米国債の下落は避けられず、金利の上昇などを招き、アメリカ経済に大きなダメージを与える恐れがあった。武藤によると米国債売却という“脅し”に即座に反応し、声を荒らげたのはサマーズ次官だったという。
 (略)
  実際、アメリカが懸念する事態が起きていた。1995年6月、ニューヨークで「大蔵省が日本の投資家に米国債投資の自粛を要請した」との噂が市場を駆け巡った。その噂には「自動車交渉の報復手段として日本政府が米国債の不買運動を打ち出した」という解説まで付いていたという。噂を受けて国債価格が下がり、利回りが0.12%上昇、それにつられて株価も34ドル下落した。(略)
 ファウバーによると、「ルービンは景気を維持するためにも、日本からの協調介入の要請も交渉におけるトレードオフ(交換条件)のひとつと見なしていた」という。
 同年5月に大蔵省国際金融局長に就任し、市場介入を指揮していた榊原英資も介入に対するアメリカ側の姿勢は極めて協力的だったと証言する。
 「われわれが(単独で)介入するとその次に協調介入する。協調介入しなくてもわれわれが介入して円安に戻すとアメリカが歓迎声明を出すということで、あの頃は完全にアメリカと共同歩調でした」(p101-104)
--------引用ここまで--------


そもそも、円高対策に協調介入など馬鹿げていて、日本が単独で金融緩和すればいいだけなのですが・・・、それは置いておくとして、
TPP交渉に参加したら即終了でアメリカの言いなりになるとか言ってた人がいましたが、実際にはそんなわけではなさそうです。普通は属国の脅しに支配国が屈するとかあり得ませんから。

p.s.
大蔵省(財務省)のご説明力の威力についてはこちらをご覧ください

検証! 財務省のメディア戦略と消費税増税ロジック(片岡剛士×荻上チキ)

週刊現代 2014年 4/26号 [雑誌]/講談社

¥420
Amazon.co.jp

↓↓↓拡散のためクリックorリツイートお願いします↓↓↓

社会・経済ニュース ブログランキングへ
読者登録もお願いします。